雲
雲を見るのが好きだった。鰯雲、飛行機雲、それにたまに形が人や動物に似ている雲もあるので僕は一日中見てても飽きない。たまにもの凄く大きな雲を見ると、その上にはお城があるんじゃないかと馬鹿な期待をしてしまう。僕はスマホのカメラで今日の雲を撮影した。ほぼ毎日やっている。友達には言えない僕だけの秘密の趣味だ。
教室でいつものように雲を眺めていると、サッカー部が外で練習してる姿が目に入ってきた。この学校は進学校だけど、サッカー部は県でベスト8になるほど強かった。
僕は心の中エールを送った。帰宅部の僕にとってはこれが精一杯の応援だ。
不意に教室のドアが開けられ、僕は雲を見るのをやめた。放課後の夕方。僕以外の誰かが入ってきた。僕はその子の登場に驚いたが、彼女は僕がいることに驚いていないようだった。




