壊れた世界の仕組み
「やるわねぇ..山崎を倒すなんて..」
美少女が、おれに向かって話しかけてきた。
「も..もう..山崎くんは..」
死んだのか?そう言おうとしたが
「死んではいないわよ。ちょっと気絶してるだけ。みときなさい。」
よかった..死んではいないのか..さすがに殺すまではしたくはなかった。
美少女は山崎に近づいて、手をかざした。
「 雷音怒声!」
突如山崎に雷を落ちた。いや、どうやらこの美少女が落としたのだろう。
「え..?なぜ..?」
一体なぜだ?とどめをさしたのか?
「なぜって..私の雷の能力で山崎を電気ショックしただけだけど?」
すると、数秒後いままでピクリともしなかった山崎が、
「ガ.....ガハッ」
身体を震わせ立ち上がろうとした。
「はっ..はぁ....」
しかしまだ完全には立ち上がれないのであろう。立ち上がろうとしてつまづくように腰を床に下ろした。
「あんたの負けよ山崎」
「でも..おれは..まだっ!」
「い..いやなんでもない..」
ここで引き下がるのはいくらなんでもかっこ悪いと自分でも気づいたのか..
山崎は素直に負けを認めた。
「でも、まさか山崎に勝つとはおもってなかったわ..お詫びといってはなんだけどこの世界の私が知りうる限りの範囲内でわからないことは教えるわ。」
じゃ..じゃあ..とりあえず一番聞きたかったことを聞こうとした..
「あなたの..下のお名前は...?」
すると、一瞬唖然とした表情をみせて、
「あははははっっっ!!そうね..たしかにそう..だよね..」
どうやらツボに入ったらしい。べつに面白いことをいったつもりじゃなかったのに..
すると、とりあえず笑いつくしたようでひと段落ついてから、
「私の名前は南雲龍華。龍華でいいわ。あんたは..たしか..早乙女明くんだっけ?」
え??なんで名前知っているんだ?
べつに教えたことなかったとおもうけど..
「あー。なんで知ってるかってこと?まぁそりゃ山崎がしょっちゅういってたし、それにあの人も散々いってたし..」
「それで..龍華さんは..」
「龍華でべつにいいわよ?」
それは、さすがにハードルが高い。女の子をいきなりファーストネームで呼ぶのはまだ無理だ。
「え..いや...龍華さんでおねがいします..」
「そっ..ならべつにいいけど.,話の腰おっちゃったね。それでなに?」
「ええっと..龍華さんって学校では今まで一回も見たことないんですけど学校にいました?」
普通、こんな美少女が学校にいるとわかれば噂にでもなっているはずだ。
それが全くないというのはおかしな話だ。
「あーー。それは単純に私が学校にいかなかっただけ。私がそもそも学校来たのって1年の入学式と数日ぐらいだもん」
「それが..なぜ今日になって..」
「あの人..じゃわからないか..この学校の生徒会長が最後の 世界恩恵を手にするものが学校に現れるかもしれないからって呼びだされたからきただけだわ」
生徒会長??それになぜ最後?
「生徒会長さんがですか..?」
生徒会長がこの件に関わっているのか?
「そっ。生徒会長。あいつには気をつけなさいよ..本当にやばいやつなんだから..あなたで 世界恩恵をつかえるのは最後らしいわ。あなた含めて 世界恩恵を使うことができる人は30人。その中でも生徒会長は 最初の4人と呼ばれている最初に世界を呪って選ばれた4人の中の1人。性格をいかれているけど無茶苦茶強いわよ」
そんなに強いのか...
「それと..なんであなたが逃げているときとか闘っているときに人がいなくなったかわかる?」
そういや、全く気がつかなかったがいままで人が一人もいなかったのだ。
「な..なんでですか?」
「これは、 世界恩恵をつかえるものなら誰でも使える。空間移動の能力をだしたからよ。ほら、さっきまで闘った部分みてごらん」
そう、言われていままで闘ってきた所をみてみると..壁が修復されているではないか。
山崎があんなに壊していたはずの壁が綺麗に元に戻っている。
「見た目はおなじなんだけど色々と闘えるように作られてるの。いまも、空間移動中だから人一人すら通らないわけなの。まぁ私は 世界恩恵能力もちだから気にせずにはいれるけどね」
でも..おれたちは元々世界を破壊するために能力をあたえられたはずだ。
「世界を破壊..しないんですか..?」
すると、龍華さんは首を振って、
「しないじゃなくて..できないが正しいかな? 最初の4人がそれを望んでいない?」
え??? 最初の4人たちが??
「あいつらは自分で世界を呪ったくせに力を手に入れた瞬間、居心地のよいものに変わったらしいわ。少しでも世界を破壊したら 最初の4人自体がそいつを殺しにかかるって警告しているの。現に..世界は壊れてないでしょ。」
「話はとりあえずおしまい。また分からないことがあったらいって」
そんな....世界を壊せる力がありながら壊せないなんて...
おれは世界を壊せないことに絶望した。そしてその後に話していたことなんてもうなにを覚えていないのであった。