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看病

どれくらい眠ったのだろう...

それすらもわからない...

目をさますと知らない天井があった。

どうやら自分はベッドで眠っていた。

だが、自分のベッドでもない。

寝ぼけ眼で部屋を見渡すと自分の部屋ではなかった。

それに女の子の部屋っぽかった。

ベッドに敷いてあるシーツだって女の子っぽかったし男の部屋ではないことはわかる。

一体何故おれはこんなとこで眠っているのだ。

女の子とめくるめく夜を過ごした記憶もないのだ。

時刻を確認してみる。時刻は20時30分を示していた。

トントントン....

足跡が部屋の外から響いてくる。

だれか..いるのか...?

いったい..だれが..?

バタン

扉が開かれた。


「あれ..?起きた...?」


そこにいたのはパジャマ姿で冷えピタシートと氷枕を持った萃香先輩だった。


「萃香先輩...?」

「さっきまですごい熱があってうなされていてね...一応看病するものは一通り買ってきたんだけど...あっ!ちょっと待っててね。今お粥もってくるわ」


先輩が再びドアを閉めて。階段の下に降りていった。

どうやら、ここは先輩の家で先輩の部屋のようだ。

おれ..なんでこんなところにいるんだ..

倒れる前の記憶がさっぱりない。

なにか、大変なことが起きていたきがすんだけど...

トントントン...

再び階段を上がる音が聞こえたとおもうと、扉が開かれてお粥を持ってきた萃香先輩がいた。


「先輩..おれなんで先輩の部屋にいるんですか?」

「そんなことは食べ終わってからでもできるでしょ。まずは食べなさい。はい、アーン♡」


先輩はお粥を入れたレンゲをおれの口に近づけてくる。

いわゆる、あーんってやつだ。

は...恥ずかしい...


「じ...自分で食べれますからレンゲ貸してください」

「そんなこと言ってたらいつになっても治らないぞ♡病人は大人しくしてなさい」


先輩には..やはりかなわないなぁ。

おれは諦めてレンゲに口を近づけて食べた。

正直味なんてわかったもんじゃない。

こんなにあーんが恥ずかしいものだとは思わなかった。

おれは、そのまま先輩のあーんでお粥を全部平らげた。


「よかった..食欲はあるのね」

「先輩のおかげかもしれませんね」


さて、そろそろ本題だ。


「先輩..おれはなんで先輩のへやにいるんですか?」

「せっかちだなぁ..わかった。まず、明くんはどこまで覚えている?」

「うーん.....あっ..おれ、萃香先輩を助けようとして..」

「そういうこと。その場で明くんは倒れたのよ。だから、私の家につれてきた。そして、何日たったかわかる?」

「1日くらい?」

「丸3日よ。その間明くんは目を覚まさなかった。しかも、熱も発症してくるし大変だったんだから..」

「それはすいませんでした..」

「私が好きで世話してたんだから。気にしないで。そんなことよりも助けてくれてありがとね」


先輩は笑ってくれている。もう、この笑顔に嘘はつけない。

あれは、まだまだフラフラする身体で立ち上がった。


「明くん..まだ病人なんだから..」

「気にしないでください。そんなことよりもいいたいことがあるんです..」

「...わかった..」


「先輩..あの時、おれがあの男たちにいったことは本当です」

「私をころそうと近づいたってこと..?」

「そうです。」

「なら、殺していいわよ。私は逃げも隠れもしない。だって、もう私の命ではないんだから。私の命はもうあの時無くなった。だから...明くんのすきにして」

「わかりました。すきにします。」


おれはフラフラする身体に鞭を打って先輩の前に立つ。

そして...おれは...先輩を....


抱きしめた。


「萃香先輩の命はおれのすきにします。だから、生かします。これがおれの答えです。言い訳は聞きません..」

「でも..私を殺さなきゃ..命令されているんでしょ..?」


先輩は涙を堪えるように震えている。おれの中で今まで大きかった先輩がひどく小さく思えた。だが、その分この先輩を守りたいと思えた。


「そんなの知りませんよ。おれの命だから拒否なんてさせませんよ?」

「.......はい....」


先輩を抱きしめる力が強くなった。

先輩の目には涙が溢れていた。

おれは、先輩がなきやむまで先輩を思いっきり抱きしめた。


ーーーーーーー


翌日、おれは学校に向かった。先輩と一緒に....

先輩はいつもこんな場合、手をつなごうとか色々言ってくるはずなのに今回はなにもいってこないどころか、少し距離を離して歩いていた。

ん?なにか先輩を怒らすようなこといったかな?


「先輩どうしたんですか..?早く行きますよ」

「ふぁ...ふぁい!!」


先輩がなぜか緊張した表情だった。どうしたんだろう..

おれが風邪でもうつしたのかな?


「先輩..?もし、風邪ならおれが看病してあげますよ」

「え..?本当..?って..えーー!!無理無理ー!!」


先輩は急に猛スピードで学校に走っていった。看病されるのが嫌だったのかな?


ーーーーーーーーーー


無理無理無理無理無理無理無理無理!!

今朝から明くんの顔がまともに見れない!

何故か明くんの声を聞くだけでも緊張する。

こんなの..初めて...

胸がドキドキする。

さっき、看病しましょうか?と言われたとき、明くんに看病されている自分を想像しちゃうともうそれだけで大変なことに、なってしまった。

おかしい..こんなの私じゃない..

いつもみたいな余裕が全然ない。

もしかして...これが..恋なの??


これが朝倉萃香の初恋になりそうだ。

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