すれちがい
と..とうとう来てしまった..
迷いに迷った末、私は恐らく後輩と思われる名前もしらない人を探しに2年生の廊下にきていた。
顔ははっきりは覚えてないが恐らく会えばわかるだろう。
なにか特徴的なものはなかったか、私は考えてみたが特になかった気がする。
どこにでもいそうな子だ。少し、顔はイケメンだったぐらいかしら..
余りにも..情報が少なすぎるんだ。
これじゃわかりっこない..
「きょ..今日は一旦帰ろうかしら..」
諦めて、下駄箱に向かおうとした瞬間、
「そういや、私の部活の先輩がいっていたんだけど、3組の早乙女ってやつがあの朝倉先輩に告ったらしいよー」
「えーー。まじーー。あの人に告るなんてそうとう勇気のあるよね..ってかそいつだれ?」
2年生の女子達が噂話をしている所をたまたまきいてしまった..
私は慌てて元の方向へUターン。
慌ててその女子に近づいた。
「その、早乙女くんのこと詳しく聞かせてもらえない?」
目をみひらけてあっけにとられる表情だった。だが、そんなの構ってられない。
もしかしたらあの子が帰ってしまうかもしれないのだ。
数秒間、その女子は硬直すると、慌てて元に戻った。
「えっ..えーと..そいつは早乙女ってやつは..たしか早乙女..明?だったかな..たしかそんな名前でクラスでは本当に目立たない空気みたいなやつですよ。前はたしかいじめられてたりとかもしていたんすが、何故かその主犯格だった山崎と最近は仲良くしてるし..
私同じクラスですけど喋ったことないしよくわからんやつで..」
まぁそんなことが知りたかったわけではなかったが、とりあえず情報を揃った。
3組にいるということだ。
「あ..ありがとね!!」
私は慌てて2年3組の教室に向かって走り出した。もしかしたら帰ってしまうかもしれない。その前に会わなくちゃ..!!
さらにひそひそとさっきの女子に噂されることになるのだがそんなことは萃香には聞こえてなかった..
廊下はあまり走ったことがなかったが今回ばかりは走ってしまった。いつもは自慢の長い黒髪が今回ばかりはうっとおしい。切りたいと思ってしまうレベルだ。
この、高校生の発育以上に育ってしまった胸も邪魔だ。
いっそ、今の間だけ貧乳にうまれたかったとおもうぐらいだ。
...よし!!ついた!
私は2年3組の教室のドアを開け、明くんがいないか確認してみる。
.....いない。私が昼休みみた顔つきの子はいなかった。
しかし、何人か生徒が残っていた。
「あ..あの..!早乙女明くんみなかった?」
「えっ..萃香先輩!!?さ..早乙女???あんな地味なやつしらねぇ...お役にたててすいません!」
「いえ..わざわざありがとうね」
私は再びUターンして教室のドアをしめた。
恐らくこの辺りには明くんはもういないのだろうか..
今日は..帰ろうかな..
そう、思った矢先、
「あ..明くん??」
「せ..先輩ですか?」
私と明くんはいよいよであってしまった。
☆
「せ..先輩ですか?」
間違いない。写真でみた通りの美しい見た目だ。サラサラの黒髪にきめ細かい肌、そしてなによりも高校生とは思えない破壊力抜群の胸..全てが男を誘惑するといっても過言ではないぐらい綺麗だ。
なぜ、先輩が2年生の教室の辺りから出てきたのかはわからない。
なんせおれは先輩を迎えにいったのに..
「先輩なんでおれら2年生の教室の方にいたんですか?おれは3年生の方に向かったのに..」
率直な疑問を問いかけた。すると萃香先輩はため息一つつくと、
「どうやら..私達、すれちがいになっていたようね..まっ..いいわ..とにかく一目のつかないところへいきましょうか」
「は..はい。ありがとうございます。」
それはこちらとしても好都合だ。
おれは萃香先輩の後をついていった。




