過去編3
気がつくとぼくは自分のベッドで寝ていた。
「変な夢みたなー」
夢にしてはやけにリアルな夢だった。たしか、天界にいって..天使にあって..能力もらって...あれ..?
夢はそこで途切れていた。おそらく、ぼくが覚えてないだけだろう。夢なんて全部覚えてる人のほうが珍しいのだから。
そういって、ぼくはベッドをとびだした。正直いじめられてるだけだ。学校に行きたいと何度も思った。だけど、その度に思うのだ。
ヒーローのことを。
ぼくは幼少の頃からヒーローのことが大好きだったのだ。
毎週日曜日の朝に放映されてる特撮物だ。高校生になった今でも見てるのは恥ずかしくて今までいったことがない。
だけど..憧れているんだ..ヒーローに..
「ヒーローはこんなことじゃくじけない..」
学校へいった。おれは恐る恐る下駄箱をあけた。.....良かった。仕掛けはなにもなかった。
なにをどこでされるかわからない恐怖、これは予想以上に辛いものであった。周りの人が全て敵に見えるのだ。
怖い..怖い...怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い
他人の笑い声がぼくを嘲笑うかのように聞こえてくる。実際ぼくのクラスでは、変態扱いだ。
冤罪だ!!と、たとえ声を張り上げても意味はないだろう。
それがわかってるからぼくはなにをいわないんだ。言っても、味方してくれる人なんていないんだ。奴らにとって真偽などどうでもいいことなんだ。
そして、教室の目の前に到着した。
上は..大丈夫。下は..大丈夫..
よし!!
ぼくは周りを確認したあと、できるだけ目立たないように教室に入った。
だが、もちろんそんなことに意味はないんだ。
「おい..とりあえず今日俺ら全員でいじめてやるから昼休み屋上にこいよ。やぶったら.......わかってるだろうな?」
西崎が脅しをかけてくる。4人がかりで囲むのだ。
「は...はい」
行っても地獄、行かなきゃ..もっと地獄..
まだ地獄のほうがましだな
地獄なんてもう見慣れた。
〜〜〜昼休み〜〜〜〜〜
「行かなきゃなぁ行かなきゃ」
ぼくは、屋上に向かう。もちろんこの先、なにが起こるかはわからないがいかなければもっとだめだ。
屋上に向かう途中なにが罠でもないか用心していったが特になかった。そうこうしている間についてしまった。
「し..失礼します..」
屋上には..やはり西崎たち4人がいた。
この学校は屋上が常に解放されている。だが、屋上なんてくる人はまずいない。
だから、こういう表向きにはできないことはまずここが使われているのだ。
「おう。ちゃんときたな」
「う..うん...」
「ならさ.....とりあえず殴らせろよ」
もう、なにも返す時間もなかった。その瞬間、いきなり西崎の拳がぼくの顔面に直撃し、おおきくのけぞった。
「殴るだけならべつにいつでもできる。なら、なんでここに呼んだと思う?」
「な..なん..」
「落とすためだよ!!おらこいつ落とそうぜ!」
「おうおう!やっちまおうぜ西崎!」
そういって、西崎たち4人掛かりでぼくを持ち上げた。ぼくがいかにデブでも、さすがに力持ちの男4人では悠々と持ち上がった。
「こいつほんとでぶいよな..おい!でぶ!おめーがでぶのせいで持ち上げにくいじゃねーかよー」
仲間の一人がそんなことをいいながら、動きだした。いよいよ、屋上の端まで来てしまった。だが、もちろんフェンスがある..
これなら..
「おい!淳!あれあったよな」
「おう!はい!タリララッタラー!カッターナイフ改造版!こいつは包丁並みの切れ味がある代物だよー」
「さすが淳ー!!やるねー!!」
そのカッターナイフを使うとフェンスの交差になっている部分が..切れたのだ。
その調子でどんどんフェンスが破壊された。
「さぁ..どうだ!気持ちは!!」
怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い
怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い
こんなやつら邪魔だ..
こんなやつら敵だ。ヒーローの邪魔をするものたちだ。
「ってのはまぁ冗..」
「死ねぇぇぇぇぇぇ!!!このクソゴミ共!!!」
ありったけの殺意をぶつけた。
その瞬間だ...
今までフェンスを切るのに使っていたナイフが西崎に刺さったのだ。
「あ.......あ???」
西崎は一瞬、自分がさされたのに気がつかなかったのであろう。そして、刺された胸を確認すると...
「ああああああああああああああ!!」
激痛で身体を捻らせた。
もちろん、勝手にカッターナイフがささるわけがない。
仕掛けてあったのだ。
ぼくが....知らないうちに..
よくみたらカッターナイフに糸が垂らされていた。ぼくの袖からだ。
西崎がおれを降ろそうとした瞬間に糸の力でカッターナイフが引っ張られ的確に西崎の胸をつきさしたのだ。
フェンスが破壊するほどのカッターナイフだ。下手すりゃ人だって殺せるだろう。
「あいつらは..敵..あいつらは..敵..あいつらは...敵」
「てめぇ!青藤!!西崎になにしやがる!!!」
「あいつらは..敵..あいつらは..敵..あいつらは敵..」
敵は排除あるのみ!!
「うぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!」
おれは、再び糸を持ち上げ、カッターナイフを持ち上げた。
「てめぇ!!!青藤!!今度こそぶっ殺してやる!!」
淳...奴は..敵..
そのまま、カッターナイフで操り、淳の胸を突き刺す。
淳の身体が血で染まる。
「敵は排除..」
ぼくは、淳の首を..かっきった。
淳は首と身体が2つに分かれる。そのまま動かない。
「あと..2人..」
あと2人はあれで殺そう。
「くらえ..正義のてっついだぁぁぁぁ!!」
ぼくは前々から仕掛けてあったとおもわれる仕掛けを使った。
ぼくは地面を思いっきり踏んだ!!!
すると...いとも、簡単に地面を凹んだ。そこから薙刀が飛び出た。
どうやら前から仕掛けてあったらしいのだ。
「うわ!!やめろ..やめろよー!!」
「排除...」
おれはその薙刀で二人の首をかっきった。
いとも、簡単だ。人間の身体なんて、なんて脆いのだろう。
「て..てめぇ..遠矢さんの予想通りかよ..」
地面を這い蹲りながら、西崎は言葉を発していた。どうやら、まだ喋るようだ。
「やっぱり、悪にはこんなぐらいじゃやられないよね..仲間と同じ死に方じゃないとね...」
「青藤....てめぇも遠矢さんにあやつられているんだけなんだよ」
「うるさい」
ぐさっ!!!完全に薙刀で心臓を突き刺した。そして、そのまま動かなくなった。
「ったく..せっかく..今の攻撃でしななかったら首をきってあげようとおもったのに..」
でもこれで..でもこれで..
「悪は滅びたぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!」
いま、目の前に広がる光景は4人の死体で血で染まった屋上と、嗤うぼくだった。