最終日
いよいよ、運命の3日目がはじまった。
これで青藤を殺しても殺さなくてもおれの中で一つの分岐点となるだろう。
「さぁ、そろそろ向かいますか」
おれは誰にいうのでもない、独り言のようでいて意思のようなもので自分が鼓舞しながら青藤家にむかった。
3日目の青藤家はこころなしか昨日に来た時よりもどんよりしているようにみえた。
それは、おれの心なのかはわからない。
ピンポーン
いつものようにおれはインターホンを鳴らした。
すると、数分後ガチャっという音が聞こえて、
「あぁ..ヒーロー君。入って入って」
昨日よりは少しテンションを落とした青藤君が迎えいれてくれた。
青藤君がおれの昨日までとはあきらかに違う雰囲気を察したのかはわからない。
また、いつもの部屋に案内された。そしてそのへやに入ってから数分後、いつものように青藤くんがお菓子やら食べ物を持ってきた。
「あっ..今回は大丈夫」
今はとても喉が通るほど神経は図太くはない。今なにか口に含んだら吐いてしまう自信はある。
「そ..そっか..じゃあ、ビデオみるかゲームでもする?」
「いや、それも結構です。今回は話しに来たので。」
さすがにビデオを見たりゲームをする余裕もぼくにはなかった。身体から変な汗のようなものが止まることがなかった。
「それも..そうだよね、じゃあとりあえず椅子に座ってでも話そうか」
いつも座っているテーブルの椅子に対になるように腰掛けた。このテーブルはおそらく、6人用で家族が座るサイズはあるはずだ。
だから2人で座るには余裕すぎるスペースがあった。おそらく2人用ぐらいならこのサイズの机は買わないだろう。
「じゃあ、昨日いっていたとうりぼくのつまらない話だけどきいてくれるかな?」
「う..うん。」
「そいつはよかった。なら話そう。ぼくはね....殺人鬼なんだ。だから会長に命を狙われてるんだ」
「え?会長?会長はあいつはニートだから殺せみたいなことをいってた気が..」
いきなり、なぜ会長がでてきたんだ?会長はたしかにおれに青藤君を殺せといっていたがそれは青藤君が学校に来ないからじゃないの?
「え?ヒーローくん、会長と認識あるの?」
しまった..!墓穴を掘ってしまった!!
「え..えーと..なんか全校の集まりのときにそんなことをいってた気が..」
結構苦し紛れだが、特に青藤くんは疑うような素振りはなかった。
「なるほど。たぶんそれは口実だとおもうよ。なんせぼくはあの人の大事な部下を殺したんだからね ..」
「殺した!?青藤くんが?」
青藤くんが部下を殺した?この温厚そうな人が殺すなんて..
「そうなんだよ。あの人から隠れるために..も理由の一つだよ。だけど..決定的なことはまだ隠してるままだね。順に振り返って行きましょうか」
そして、ついに青藤くんの過去が紐解かれるのだ。