2日目
ついに、明日になった。
「いかなくちゃ..」
無理にでもいかなくてはいけない..
おれは重い足取りを引きずるように、青藤の家にむかった。
おれの家から歩いて20分くらいのところだ。道さえわかればいつでもいける場所だ。
ついた。相変わらず大きな家だ。
とりあえずインターホンを鳴らさないとな..
ピンポーン...
音が鳴り響いてから、1分ほど待っているとドアが開いた。
青藤だ。
「よかった!今日もきてくれたんだ!ささっ..ここじゃなんだから中で話そうよ」
「あ..ありがとう」
青藤は、おれを歓迎してくれている。第一印象がよかったのか..こうして、青藤は一切の警戒なしでむかえてくれることにおれは感謝しつつ.....残念でもあった。
俺たちは前に来た、部屋に案内されてそこで話したり遊んだりした。
最初はニートと聞いてなにか性格がおかしいのかとか警戒していたが本当に青藤はそんなところは一切ない。
学校に来てもおかしくないのに、それでも青藤は学校にこない。
「青藤くんは..もう学校にはこないの?」
「学校か...もうたぶん少なくとも高校の間は来ないと思うよ。来ないというよりいけないんだ..ぼくにその資格はない」
一体青藤くんになにがあったんだろう..と、思ったがこれ以上踏み込めない。 踏み込むなといわれているような雰囲気があって、おれはなかなか聞き出すことはできなかった。
「ごめん!ごめん!まただめな雰囲気になったね!ゲームでもしよっか?」
そういって、青藤はゲームは取り出してきた。このタイトルには見覚えがある。格ゲーといわれるジャンルのゲームだ。
「なんのキャラにしよっかな..」
格ゲーの対戦画面には20人ほどのキャラがあった。なにを選んでいいのかすらわからない。
「ぼくはこの子できまりだね」
青藤は迷わずなにやら他のキャラより露出度の高い女キャラのようだ。たしか素早さが早くてコンボをつなげていくキャラだったかな...
「うーん..うーん..そうだ!ぼくはヒーローだからこのキャラだ!」
おれは主人公っぽい熱血漢溢れるキャラを選んだ。これならヒーローっぽいね。
「ヒーローの実力を見せてあげる!」
「ふっふっ..このぼくに勝てるかな?」
結果は...惨敗だった。いきなり間合いを詰められその後はもうワンサイドゲームだった。
一方的にコンボを決められ一気にゲージを削られた。
だがこのゲームは二本先取で勝つ。
最後っ屁ぐらいは当ててやる。さっきまでやられまくったせいで必殺技ゲージは一気に溜まってる。おれは必死に覚えた究極必殺技のコマンドを頭にいれる。
「これで終わりだよ!」
やはり青藤は2戦目が始まった瞬間、一気に間合いを詰めてきた。おそらく1戦目にやったようにワンサイドゲームにしたいのだろう....
「そうは..させないよ!」
おれはさっきまで、待っていたコマンドを一気にいれる。
「食らえ!必殺技!アルティメットバルザーーーーー!!!」
「な...なにぃ!!」
おれの必殺技が入った!!この技で相手のキャラは一気に体力を削られた。
もともと軽くて防御が低いキャラだったのもあいまってなんと一撃で相手のキャラのゲージを削りとった!
「やったぁぁぁぁぁぁ!!」
「く..くそぉぉぉ!」
青藤はこのゲームに自信があったのだろう。結構悔しがった。
まさか..初心者がこれをきめるとは..とかなんたらぶつぶついっている。
「よっしゃぁぁ!この調子で決めるぜ!」
3本目のゲームが始まった!よし!今回も相手のキャラが攻撃してくるのに合わせて必殺技を押すのだ!
相手がちかずいてきたのを見計らっておれはコマンドをいれる。
だが...
「で..でなぃぃぃぃぃ!」
全く必殺技がでなかった。なぜだ..コマンドはこれで合ってるはずなのだ..なぜだ..
「ゲージを...みてみ?」
青藤くんは、優しい顔でそういってきた。おれはゲージをみる...
「ゲージ溜まってなかったぁぁ!」
必殺技ゲージが溜まっていなかったのだ。そりゃでないわな..
「そりゃさっき必殺技で勝ったんだからそりゃまだ溜まってるはずないよ..」
もちろんその隙を見逃すほど甘い男ではなかった。そのまま一気にコンボを決められて、一気にゲージを削られた。
「ま...まけたぁぁぁぁ」
「でも、初心者が必殺技コマンド決めてきたのはびっくりしたよ。普通難しくてなかなかできないはずなのに...でも..そこヒーローっぽいよね」
「ヒーローっぽい?」
負けたのに?
「ヒーローっぽいよ。どんなにやられていても最後の必殺技で一気に逆転ってほんとにすごいよ。結果的には僕の勝ちだけどなんか勝った気しないもん」
そして、ひと段落ついて、格ゲーをやっているとちゅう、
「ヒーローってどんなこと普段なにしてるの?」
唐突に切り出してきた。
どうしよ..とっさに考えたからそんなことなんも考えたこともなかったな..
なんて言おうかな..
「え..えーとね...そう!僕は悪い奴を倒しているんだ!学園を苦しめる悪い奴を倒すのが目的なんだ」
まぁ..嘘はついてない...
「そうなんか...君はすごいね..君みたいな人がもっと前にいたらぼくはあんなことをしなくて済んだのかもしれないね..」
苦し紛れだったのが、青藤くんは信じてくれるだからかなにかしら深く考え出した。
「そうだな..明日話すよ..なにもかも..だから...明日もきてくれると嬉しい」
「う..うん!わかった」
明日で決着がつくんだ。迷うのも明日で最後だ。結論の時がきたのだ。