決意を胸に 7
「でも、今でもそうだよ。タカ君がそういうなら私達幼馴染は何も言えない。タカ君がまだ私達誰か一人を選べないっていうのなら、私達はそれを強要しない……もちろん、それは私もそうだよ」
夢はニッコリと笑った。
その笑顔は狂気に満ちたものではなく、紛れもなく、僕の知っている優しい幼馴染である森崎夢の笑顔だった。
安心が身体中に満ちていく。
一応は、安心だ。
ここで夢がこのことを了承してくれたということは、この後の事象も変わったはず。
そうなれば、僕が死へとループからも開放されたはずだ。
許された……というのはまた違う気がする。
というか、結局、僕は、皆に頼っている気がする。
幼馴染の皆がそれを許してくれるから、僕はそれに甘えている。
それで果たしていいのだろうか……
「……っていうことだから、私は特にタカ君の決めたことに口は出さないよ」
と、夢が話しかけてくる。
「ただね、もし、タカ君が私達の中から誰か一人選ぶって言う時が来たら……やっぱり私を選んでほしいかなぁ」
「ゆ、夢……」
「……なんてね。えへへ。それはその時が来たら、の話だよね」
そういって夢はそのまま公園の出口の方に向かっていった。
慌てて僕は立ち上がる。
「ゆ、夢? どこに行くんだ?」
「どこに行くって……今日の晩御飯! 先にタカ君のお家に行っているからね!」
そのまま夢は行ってしまう。
いや、ダメなんだ。
きっと、このままでは僕はずっと甘えてしまう。幼馴染の皆に。
この死のループは、僕の甘えが生み出したものだ。
幼馴染同士だしどうにかなる、たぶん、幼馴染なんだから許してもらえる……
そればかりで僕は何度も失敗してきた。
僕はそのまま走り出した。
そのまま夢に追いつく。
「夢!」
と、名前を呼ばれた夢は、驚いて後ろを振り向く。
「ど、どうしたの? タカ君」
「……はぁ……そ、その……きょ、今日は……僕が……作る」
「……へ? な、何を?」
「……夕飯」
夢は目をパチクリして僕を見る。
そうだ。決めたのだ。
いつまでも甘えていてはいけない。僕には覚悟が必要だ。
自分でそれを行う、という覚悟が。
「で、でも……タカ君、料理なんてできない――」
「だ、だから……教えてくれ。夢……僕は……もう、甘えてばかりじゃダメなんだ……!」
真剣な瞳で夢を見る。
夢の瞳は丸く、揺れていた。
まるで、それは驚きでもあり、どこか感動しているようにもみえた。
しかし、夢は笑顔に戻って僕を見る。
「……うん。いいよ。だって私もタカ君のことが大好きだもん。タカ君がしたい、っていうなら、喜んで協力するよ」
「……ありがとう、夢」
「いいよ。だって……私達、幼馴染でしょ?」
その夜、夢に教わって僕は初めて自分の手で料理をした。
もちろん、味は夢がいつも作るものに比べれば雲泥の差。非常に不味かった。
でも、これは決意の味。
これから僕が味わうべきものであると思えたのだった。




