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最後の選択 2

「なんで、そんなこと言うんですか」


 抑揚のない声が、刺すように僕に向けられる。


「え……だ、だって……」


「いいじゃないですか。心配かけても。どうせ、夢ちゃんも、杏ちゃんも、翼も心配するだけです。それ以上のことはしません。本当に心配だったら、探せばいいじゃないですか。血眼になって、本気で、この街中、日本中、世界中……最も、どんなに探しても見付かることはないんですけどね」


 澪は嬉しそうに笑う。その笑顔は完全に狂気に満ちていた。


「それに……もう、隆哉君は私だけの幼馴染なんです。だったら、夢ちゃん、杏ちゃん、翼のことを構う必要は、ないですよね?」


「そ、そんなこと……」


「だって、私、隆哉君のことなんでも知ってますよ。隆哉君だって、気付いているでしょう?」


「え? な、何を?」


「朝起きると服だけじゃなくて、身体まで綺麗になっているのはなぜですか? 口の中、歯も毎日綺麗になっていますよね? トイレに行きたくならないのは? この倉庫にはトイレがないのに、隆哉君はお腹が痛くなったりしませんよね? 一度も……お漏らししたこともないですよね? それは……なぜだと思います?」


 そういってニッコリと澪は微笑む。


「ぜーんぶ、私がちゃんとやっているからですよね?」


 身体中に震えが走った。


 わかってはいたけど、言われてしまったことによって現実と認めざるを得なくなってしまった。


 僕は、完全に澪に管理されているのだということを。


「夢ちゃんがやってくれるでしょうか? 杏ちゃんにできるでしょうか? 翼がしようと思うでしょうか? 少なくとも、私はそうは思いませんよ?」


 勝ち誇ったようにそういう澪。


 そして、そのまま僕の首に両手を回して、僕を抱きしめる。


「大丈夫ですよ。ずっと、このままで。大好きなんです。隆哉君。ずっと、昔から……」


「み、澪……」


「だから、何も考えないで下さい。気にしないで下さい。私のことだけ……見ていてください」


 段々と朦朧としてきた。眠気が襲ってくる。


 そのまま目を瞑ると、意識が抜ける。というか、意識を失っていくのがわかった。

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