壊れた鳥籠 10
「も……もうダメだ……今度こそ僕はもう……」
僕は、あまりのショックで泣きたくなった。
「ははは。心配するな。ワシはその場合でも、お主を置き去りにしたりはせんから」
「そ、そういうことじゃなくて……ど、どうにかならないのかよ!? お前は神様だろ!?」
「う~ん、そうじゃなぁ……何かきっかけがあれば、この状況からお主をやり直しが利くようにすることもできるんじゃが……」
「き、きっかけ?」
すると神様はなぜかチラチラと僕の方を見ながら先を続ける。
「そうじゃ。今までは、幼馴染連中の誰かに殺される、というのがきっかけだったのじゃ。それが行われたことによって、お主は時間を遡り、蘇りを果たしたわけじゃ」
「で、でも、神様なんだから、そういうのなくても……な、なんでもできるんでしょ? ここに監禁される前、僕が神林神社に来る前に戻してよ!」
僕は神様に詰め寄る。しかし、神様は眉間に皺を寄せたままだった。
「無茶を言うでない。神にも色々制約があるんじゃよ……まぁ……そうじゃな。お主が本気でやり直したい、と思うことが出来たら、やり直すことができるんじゃが……」
「本気で……やり直す?」
「そうじゃ。もう一度やり直して新たな誰かと恋を成就させたい、という気持ちになれば、できる。もちろん、その場合はお主に一度死んでもらうことになるが」
「え……そ、そうなの?」
「そうじゃ。そこらへんに落ちているガラスの破片で喉でも突き刺せばそれは問題でない。むしろ、やり直して、他の誰かと付き合いたいと思わんとダメじゃ。それは誰でも良いぞ? 幼馴染連中でも、誰でも、じゃ」
「だ、誰でも、って……」
そういわれてしまうと困ってしまった。
誰でも、か。
僕には幼馴染四人以外にそもそも、関わりの在る人間がいない。
関わりがない人間と仲良くしたいとも思わないし、増してや恋仲になるなんてもっと難しい。
僕には全く、誰も思いつかなかったのであった。
「……無理なようじゃな」
神様は案の定、という感じで僕を見る。
その瞳はなぜか少し怒っているようにも思えた。
「まぁ、時間はまだあるんじゃ。ゆっくり考えるがよい。お主がこれからどうすべきかを、な?」
考える、といってもなぁ……
もう、僕には誰も残されていないのだ。
夢も、杏も、翼も、澪もダメ……どうしてこうなっちゃったんだろう。
そりゃあ、僕が悪いっていうのはわかっている。もう一度やり直したいとも思う。
だけど、彼女達それぞれとやり直しても、結果はどうしても、結局は同じ気がしてしまうのだ。
そうなると僕はこの状況から出られない。
まるで逃れられない無限のループに陥ってしまった感じだ。
……ダメだ。今はどんなに考えても仕方ない気がする。
もう、何も考えたくない。休みたい……
僕は薄暗い部屋の片隅に蹲って、そのまま目を閉じたのだった。




