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天国から地獄 1

 しかし、僕が幼馴染三人に翼との付き合いを報告した日に感じた不安は、どうやら杞憂だったようだ。


 なぜなら、それから三週間、何もなかったからだ。


 僕と翼の関係は全く変わらなかった。


 傍から見れば本当に恋人なのか、っていうくらいに。


 いつも通り、友人のような関係だった。


 相変らず夢は僕の家に夕食を作りに来ていたし、杏が要請してきた買い物に付き合ったし、澪がお茶をしに来ないかと言ってきた時には僕は普通に澪の家、すなわち神林神社に向かった。


 なんだか僕自身も本当に翼と付き合っているのかどうかわからなくなってくるくらいだった。


 でも、これでいい。


 夢も杏も、僕に告白してこないそれは紛れもなく翼と彼氏彼女の関係である、としているおかげだ。


 後一週間……その日が僕の殺された日。


 夢に屋上で刺され、杏に道端で心臓を一突きされた日。


 だが、今回は大丈夫だ。死ぬ要素がない。翼は相変らずだし、全く心配ないだろう。


 そんな感じで僕はリラックスしていた。



「タカ君?」



 と、台所から夢の声が聞こえてくる。


「何? どうした?」


 その日も夢は僕に夕食を作りに来てくれていた。


「ああ。えっと……最近どうかな?」


「え? 何が?」


「その……翼ちゃんとのこと」


 意外だった。夢が僕にそんなこと聞くなんて。


「あ、ああ。普通だよ。普通」


「普通、って?」


「いつも通りだよ。僕と翼はいつも通り仲がいいってことさ」


 すると夢は不審そうな顔で僕を見る。


「な、何? 夢」


「え、えっと……タカ君。あんまりこんなこと言いたくないんだけど……タカ君、本当に翼ちゃんと……付き合ってるの?」


 瞬間、血の気が引いた。


 思わず立ち上がってしまうくらいに。

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