やり直しの世界 1
「痛っ!」
そして、僕が杏に刺された死んだ後、一番最初に感じたのは、痛みだった。
「……はぁ!?」
あまりのことに僕は驚く。
なんで? 今、僕、死んだよな?
確実に。確実に、今度こそ、死んだ。
杏に心臓を刺されて間違いなく絶命した。
だが、生きている。
「いやぁ、残念じゃったのぉ。今回、も」
と、僕は起き上がる。
見ると僕の少し離れた所でたたずんでいる白髪の少女。
綺麗な着物姿はどこかで見たことのある姿だった。
「まぁ、ワシは途中で忠告したのに、お主が最期まで言うことを聞かなかったからじゃがな」
「あ、アンタ……」
ふり返った顔立ちは可愛らしかった。
だが、同時に僕は驚愕していた。
そう。僕が杏に刺し殺される直前、僕が会っていた少女。
つまり、あの神様と名乗る少女そのものだったのである。
「ん? なんじゃ? どうしてそんな驚いておる?」
「あ、あ……な、なんでいるんだよ? ぼ、僕は死んだはずで……」
「何? お主、話を聞いておらんかったのか?」
「は、話?」
「ワシは言ったよな? お主が毎月我が社である小石川神社にお参りした褒美として、お主を誰かと結びつけてやる、と」
「え? あ、ああ。そうだった」
言われて思い出した。
この神様は僕の家の近くのボロ……ではなく、小石川神社の神様なのであった。
見れば確かに、僕が今いるのは寂れた小石川神社の境内だった。
「思い出したか? じゃから、こうやってまた誰かと結び付けてやろう、というのではないか。全く、仕方のないヤツじゃのぉ」
「え……ちょ、ちょっと待って。で、でも、僕、杏と恋人関係にはなったよね?」
「じゃが、その後殺されていたではないか。ワシはな、心の優しい縁結びの神様なのじゃ。だからこそ、お主に女子との平和な日常が訪れて初めて、ワシが誰かと結びついた、ということにしておる。付き合って一ヶ月で殺されるようでは、誰かと結びついた、とは言わんわ」
「そ、そんな……じゃあ、何? もしかして、誰かと平和的に結びつくまで、僕はまさか……死ねない、ってこと?」
「まぁ、そうなるな。そういう風にワシがお主の運命の因果を少し弄った、というわけじゃ。最も、誰かと平和的に、幸せに結びつけば、死ぬこともないんじゃが」
あまりのことに愕然としてしまった。
いや、薄々気付いていたけど、まず、この白髪の女の子が神様ということがようやく確信できた。
そして、今の言葉。
誰かと結びつくまで死ぬことが出来ない、だって?
冗談じゃない。それこそ、無限に死に続ける、って……
僕は、何か特殊な力による攻撃でも受けているっていうのか?




