バッドエンド 2
「あー……やっぱりこうなったのぉ」
しばらくして、声が聞こえてきた。
……あれ? おかしいな。僕は確か、包丁で刺されて、それで……
ああ。死んだんだった。
とても自分のこととは思えないほどの第三者的な感じで僕は記憶を取り返した。
僕は目を開ける。
なんだか、真っ白な空間が当たり一面に広がっていた。
「お、起きたか」
見ると隣には女の子がいた。
真っ白な長い髪。
どこか古臭い着物姿のこの世の人間とは思えないような美しい女の子がそこにいた。
「あ……だ、誰?」
「誰、じゃと? 失礼なヤツじゃのぉ。初めて会った相手に」
「あ……ああ! そうか。天国からのお迎えか!」
すると白髪の女の子は眉間に皺を寄せて僕を見る。
「まぁ、間違ってはいないんじゃが……ちと、ニュアンスが違うかの」
「え? 間違っていない、って……じゃあ、僕、やっぱり……」
「もちろん、お主は死んでおる」
白髪の女の子は何食わぬ顔でそういった。
ああ。そうか。やはり僕は死んだのか。
悲しみは、なかった。ただ、驚きだけがひたすら僕の中で大きい。
それは先ほど包丁で刺されてからずっとなのだが。
「そうか……じゃあ、さっさと天国に連れて行ってくださいよ」
「ふむ。本来ならそうされるべきなんじゃが、生憎、お主はそうならない」
「は? なんで?」
と、ニンマリと白髪の女の子は嬉しそうに微笑んだ。
「なぜなら、ワシは神様だからじゃ」
得意げにそういう女の子。
僕はポカーンとその子を見ることしか出来なかった。