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暗闇

ここには何もない。光もない。ずっと真っ暗。そんな部屋の中には1人の少女がいた。暗闇の部屋の中、蝋燭1本を頼りに本を読んでいる。少女は言う。


『いつになったら真っ暗な所から出られるの?いつになったら私は光を見られるの?…』


少女は言う。毎日言う。彼女が光に触れるその日まで。


ある日彼女に1人の少年がやって来た。少年は彼女の兄だと言う。

『君はここから出たい?』


少年…兄は妹に問う。


『出たい、光を見てみたい…でも、出たいのに出たくないの…もうどうすることもできない…』


兄は妹の言葉を黙って聞いている。そして思った、妹は壊れかけているんだと…


『どうしよう…どうして』

『…大丈夫だよ、きっと君は外へ出られる。そのために僕たちは戦っていたんだ、僕だけじゃない、家族皆で』


兄と妹は見つめ合った。


『かぞく?』


兄は微笑んだ。


『君にはね兄である僕の他にもう一人兄が、あと姉と妹がいるんだよ』


兄は妹に手を出した。


『ずっと君がここから出られるようにがんばったんだ、そして…ついにこの日が来た』


妹が手を取り立ち上がった。


『さぁ、一緒に光の元へ行こう。君はもう…自由だ』


妹が兄の手を取りゆっくりと扉へ近づいた、そして扉を開けると家族が待っていた。


『おかえりなさい、ティア』


皆の笑顔、温もりを感じた妹は大きく涙を流した。

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