番外編 平和の背景
「王族というのは複雑ね」
ティアは呟いた。
「仕方ないさ、王族は子孫を残さないといけない、跡取り…王を残さないといけない」
エリエルが頷きながら言った。ルルーも頷いた。
「…でも、時代は変わったな…今はこんなにも平和だ…」
ルルーは外を見た、城下町では人の声で賑やかだった。
「あの時とは違う…」
ティアとエリエルは心配そうにルルーを見た。
「エルセント王国を平和にしてくれたのはルドレス王とレドビィス殿のおかげよ」
「レド…?」
ルルーは驚いた。レドビィス・アルギ・レスファン、彼は当時王だったルドレス・リーヅ・クエール・エルセントの優秀な側近であり、ルルーの前世…フィアリースの婚約者だった。
「レドビィス殿は亡くなった婚約者の願いを叶えるために戦ったそうよ」
ティアが優しい声で言った。
「婚約者のため、か」
エリエルは感心していた、そしてルルーを見て驚いた。
「ルルー嬢、何で泣いてるの?」
ルルーは俯いた。
「レド…ごめんなさい……でも、ありがとう…私の願いを叶えてくれて…本当に、ありがとう」
ティアとエリエルはその言葉を聞いて驚いた。
「ルルー、貴方、もしかして…」
ルルーは涙を拭いながら頷いた。
「彼は、レドビィスは…前世の私の婚約者だった人なの。私が死ぬ間際、彼に…この国を平和にしてほしいと頼んだの…。当時は戦争が耐えなくてお父様も叔父様も、みんな戦争で亡くなって…」
「ルルー…」
「だから私は彼に、レドにこの国を守って、この国を平和にして、て頼んだの…だから、平和になって…願いを叶えてくれて…
うれしかった」
ルルーは笑った、釣られてティアとエリエルも笑った。
こうして驚きの1日が終わった。
* * *
「ねえ、レド」
「なんだい?」
フィアリースはベットの横にある椅子に座っているレドビィスを見た。
「…私は賢者として色々な事をしたわ」
「そうだね」
レドビィスはフィアリースの手を握った。
「私達は永遠の婚約者でいようね」
「婚約者じゃなくて…僕の…永遠の妻だよ」
フィアリースはクスッ、と笑った。
「…お願いがあるの…この国を平和にしてほしいの」
レドビィスは驚いた。
「あたりまえだろう?」
「本当?」
「本当だ」
「絶対?」
「ああ、絶対に」
フィアリースはほっとした。
「約束だよ、レド…私が死んでも…ずっと、約束だよ…」
「フィア!!」
「私の身体はもう、持たない…」
そしてフィアリースは目を閉じた。
「…ありがとう…」
「フィア!!まだ生きるって言ったじゃないか!?…フィア……フィアぁぁぁぁぁぁ!!!!」
レドビィスはフィアレースにキスをした。
「フィア…絶対にこの国を平和にしてみせるよ…」
あれから20年、エルセント王国は世界一平和な国とされた。その背景には側近の固い約束があるのを知っているのは王だけだった。
これで本当に終わりにしたいと思います。
本当にありがとうございました。




