会議
王宮の奥にある会議室には今から会議が行われようとしている。
その中にはルルーとティアの姿もあった。
「これより、国王陛下暗殺計画事件の会議を始めます。」
会議はルルーの父、ビレーシオ公爵大臣の声ではじまった。
「うむ、皆が知っている通り我は謎の暗殺者に殺されかけた。皆、心配をかけてすまないと思っている」
「ご無事で何よりです陛下」
他の大臣たちも陛下の生還にうれしく思っていた。ルルーも少し微笑んでいた。
「…ティアも、本当にありがとう」
「いえ、陛下を守るのが私のお役目ですから」
「これくらい『お父様』と呼んでもいいじゃないか…」
「今は仕事中です、後でしっかりお話を聞きますから我慢してください」
少しすねた様子のルークとそれを無視し続けるティアとの親子会話に、会議に参加している大臣達やルルーは
苦笑いを浮かべていた。だがそれは一瞬のことだった。
「我を殺そうとした奴らは2人、奴らは最後、森の奥に逃げ込んだということだ」
「森の奥…」と呟いてルルーはその2人の特徴を思い出していた。
「陛下、2人の特徴などは、まだ分かっていないのですか」
「あぁ、まだ何も…ティアは何か見なかったか?」
ティアは目を閉じて思い出していたが首を横に振った。
会議室に沈黙が訪れた。
だが、それを壊したのはルルーだった。
「羽模様のついた長剣、氷魔法を駆使して氷魔法専用にした弓…」
ルルーのその声で父のダルトがルルーに声を掛けた。
「何か思い出したのかルルー」
ルルーは頷きルークを見た。
「陛下、陛下を殺そうとした2人の内、1人は羽模様のついた長剣を持っていました、そしてもう1人は氷魔法専用の弓を使っていました。ティアに怪我をさせた奴はおそらく、長剣の人かと思います。あの短剣にも羽模様が書いてありましたから…」
ルルーの言葉にルークを始め、大臣たちも驚いていた。そしてティアが何かを思い出した様な顔になった。
「学園の近くの森…あそこの森の奥には…確か…」
何かを呟いていたティアがルルーの顔、そしてルークの顔を見た。
「ルルー、前に先生が森の奥には何かがあると言っていたわよね」
「う・うん…確か…!?…まさか!」
「そのまさかよ…陛下、いえお父様、そしてビレーシオ公爵大臣、あなた方も知っているはずです。あの奥には建物があることを、そしてその建物は…」
そこでダルトとルークも思い出した。
「地下通路へ行く階段がある…」
「そしてその通路を歩いていくと…学園長室に…」
ダルトとルークは顔を見合わせた。
「まさか陛下、アイツが…」
「そんなわけ!」
ルークが「そんなわけがない」と言おうとしたときに、突然ティアの後ろに陰が下りた。
そして陰の言葉を聴いたティアはルークとダルトを見て首を横に振った。
「…犯人を捕まえました。名前は…リンク・ブェス・ルイロス、そしてリーナ・スヒィク・ルイロスです」
「え…ルイロス先生!」
リーナ・スヒィク・ルイロス、彼女はルルーとティアの担任教師であった。
「リンクが…」
「そうか…リア、ご苦労だった」
陰…リアは音もなく消えていった。
会議室は再び沈黙になった。




