国王ルーク
エルセント学園の前には3人の人物が学園長に向かって歩いていた。
「お待ちしておりました、陛下。」
学園長が挨拶をすると真ん中に居た男、エルセント王国の国王ルークが前に出た。
「突然の訪問すまない。」
「そんな事で謝罪をしないでいただきたい。親友の身として謝られても困ります。」
笑顔で答えた学園長にルークは少し楽しげに
「いつたっても変わらないなリンク。」
「それはあなたもでしょう?」
そう言って学園長…リンクは少しいじわるな笑みになった。
ルークとリンクは学園長室に向かって歩いていた。
「我が息子たちはどうだ?」
「ユアン様は親しき友人もたくさんいてクラスの人気者です。成績もダントツ1位ですよ…誰かさんに似て。」
ルークはリンクの《誰かさん》に眉を寄せたがそれは一瞬の事だった。
「そうか…ティアはどうしている。」
ルークは1番心配しているティアについてリンクに聞いてみた。リンクは微笑んだ。
「ティア様はですね、最近3人の女子生徒と共に行動しています。笑顔も見られる様になりましたから。すごく楽しそうでしたよ~。よかったですね陛下。」
リンクの言葉にルークも笑顔になった。
「あぁ。よかったよ…ティアも、あの時の記憶の傷が治ってきたんだな…」
そして2人は学園長室の前に来た。
「中で、ユアン様、エリエル様、そしてティア様が待っています。」
ルークは驚いた。前に学園に来たときは息子のユアンとまだ在校していた娘のキアラ、そして姪のエリエルがいてティアは来ていなかったのだ。
そしてリンクが扉を開けると3人の人物が並んでいた。左からエリエル、ユアン、ティアの順で並んでいた。扉が閉まったのを見てユアンが前に1歩で出た。
「お待ちしていりました父上。ですがはっきり言ってすっごく怒ってます。」
ルークは苦笑いをした。ユアンの顔は本当に怒っていたからだった。
横にいるエリエルやリンクも苦笑いをしていた。だが、ティアだけは無表情のままだった。
「まだ授業も始まらないので陛下は少々ここで待ってもらいます。ユアン様もエリエル様も準備がありますし、私も色々あるのでご一緒できませんが…ティア様お願いしてもいいですか?」
「…はい、分かりました。」
ティアの答えにリンクは笑顔になった。
「ではお願いします」
そう言って部屋を出た。学園長室にはルークとティアの2人だけになった。
「ティア、座りなさい」
ティアは静かに座った。そして顔を会わせる感じになった。
「…久しぶりだな、ティア」
「お久しぶりです…お父様」
ルークはいつの間にか笑っていた。それにティアは不思議そうな顔をした。
「何故笑っているのですか?…気持ち悪いです…」
「ハハハ、何故か面白くってね。…こうやって2人で話すなんてなかったからな」
その言葉にティアは固まった。
「…そうですね…確か…に……確かに、初めてですね2人で話すなんて」
「ティア…そんな顔をしないでくれ、お前のそんな顔はもう見たくない…笑ってくれ…」
ルークをティアを抱いた。そして王族の印であるグリーン系の色の髪を撫でた。ティアは目を閉じた。
「…そうですね、私も笑わないといけませんね」
そう言ってルークに笑顔を見せた。ルークも最初は驚いていたが最後は2人で笑い合うことができた。
このティアの笑顔を壊さないように、何日もかけて修復したこの絆を絶対に、再び闇に落とさない。
そう、ルークは誓った。
最後は父と娘で終わらせました。
やっぱり親子は仲良しが一番!




