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転生ダンジョンマスターですが、弱小だし、辺境だし、どうやって生き残れと?  作者: 膝関節の痛み
第6章 辺境弱小ダンジョンの収穫

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エピローグ

 温泉は次の日に再開し、新しい日常が始まった。

 お客さんは、集会所の転移陣から直接ダンジョンの入口に来る。

 馬車を使っていた時よりかえって近くなったと好評だ。


 盆地とうちのダンジョンは、国も知らない、村の秘密の場所になった。

 村民以外で知っているのは、ごく一部の関係者のみだ。

 対外的には、ニーニャ村の温泉ダンジョンは踏破されて消滅、美人なダンマスは絶賛行方不明中である。


 ――そして、時は流れた。


 具体的に言うと5日。


 時は流れてもダッシュでは流れない。似たような一日がゆるゆると続くだけだ。


 あ、今日は雨が降ってます。

 あと、さっき温泉に来たカレルさんのミーシャがちょっと育ってました。

 デビリンはディオさんの新作の合羽(かっぱ)を着て湖に魚を獲りに行きました。

 風魔法で雨を弾くやつなので雨嫌いのデビリンもご機嫌でした。

 ネーさんは遅刻しそうになったのでドラゴン姿で飛んできました。


 そんくらいかな?


 ダンジョン経営は、お風呂屋は規模を縮小して継続、冒険者用施設は復活なしに決めた。

 ギルマスさんから、元のダンジョンを冒険者の級認定の試験会場にっていう話が来てたけど、もう閉鎖しちゃったし。

 盆地挑戦権持ちの人にはお詫びにお宝を配ったからクレームはなし。


 ギルマスには事情を伝えてあるのでそのうちリリに会いに来ると思うけど、もし話が出たらその時改めて考える。


 今はレベルⅠなので維持費が安い上に盆地のDP自然回復力がすごいので、正直なんもしなくても余裕なんだよね。

 でも、ジイイみたいな引きニートになるつもりはないから、日帰り温泉はちゃんと続けて、私は毎日受付でお客さんから5タシュを頂く。


 気のいい田舎のおっさんおばちゃんの相手をして、何ごともなく一日を終える。

 「生き残る」が目標だった転生直後の私の到達点としては、上出来だと思う。


 ダンジョンは全4層になった。

 新しくダンジョンの周りの平地を取り込んだためだ。


 入口の横にはホーさんが実験的に作った春小麦の小さな畑があって、黄金色の穂が刈り入れを待っている。リリがジジイのために作った温泉を利用したものだ。

 その温泉は塩山といっしょに消えちゃったけど、麦の使い道次第では復活させるかもしれない。


 この小麦で焼いた「新ダンジョンパン」はちょっと楽しみ。

 カロリーもぜひ知りたい。


 その盆地部分を第1層階層としたので、以下の階層はひとつずつ繰り下がった。

 盆地を第1階層にしたのは、ダンジョン直通の転移陣を、数を気にせず設置できるようになるからだ。

 

 外部のフィールドをダンジョン化するのには新階層を作るよりコストがかかるけど、それはジジイを吸収して増えたDPで賄った。


 ジジイのやつが、時々「DPカネ貸すぞ?」って言ってたのは冗談じゃなくって、千年以上かかって盆地の魔力をたっぷり貯め込んでやがった。

 約33万DP。

 年間330DPでも千年経てばそうなる。

 塩作ってたのはほんとに小動物を呼ぶためだったらしい。


 そのDPは今、全部うちのダンジョンのものだ。

 盆地の一部ダンジョン化に4万DPくらい使ったけど、もう使うところもないから残りはとりあえず貯金。

 返せって言われても返さないよ?

 それどころか、ジジイ階層の維持費はこっち持ちなんだから、これから先の家賃と考えたら安いもんでしょ。

 300年くらい経ったら許してやらんでもないが、私はリリにやったことをまだ許したわけではないのだ。


 ジジイは地下3階に移転して、塩づくりはさっさとやめたらしい。

 辺境では、塩は東部からの輸入品だけど、村で普通に手に入るから別にジジイが作んなくとも平気。

 いずれにせよ私は、ジジイ階層にはカチコミ以外絶対に足を踏み入れない。


 リリの「永遠の10歳問題」は、いつの間にか解決してた。

 ブーちゃん騒動から今まで、ダンジョンのレベルはⅡ→Ⅰ→Ⅱ→Ⅰって目まぐるしく変動したけど、その間リリの姿には変化がなかった。

 ダンマスになったことで、私みたいに外見が固定されたらしい。


 ジイイが砕ければ、またレベルに合わせて外見が変化するようになるみたいだが、ジジイはうちのダンジョンに入ってしまったので、私が割らない限りその可能性はない。

 よし。これでレベルⅢのお姉さんリリに叱られることはなくなった。


 昨日は、引っ越し以来初めて村に行ってみた。といっても4日ぶりなだけだけど。

 当然変化なし。

 私が転生した頃に逆戻りしたままだ。


 冒険者も出ていったっきりで、ネーさんドラゴン形態で飛んだために、魔物も西の森から逃げてしまって、戻ってくる見込みはない。

 村外資本の宿屋も店も撤退し、建物だけ残っている。

 ラーラさんたちもリムズデイルに帰った。

 アーノルドさんたちは、マリアベル新男爵に仕えることになった。

 近くに猫龍神様がいらっしゃるのが決め手になったって言ってた。

 良かった良かった。


 ハンターたちの狩場は、また湖の先になった。

 猟師宿はなくなってしまったけど、ダンジョンじゃなくなった洞窟奥に転移陣を設置したので、すぐに盆地に帰ってこれるから無問題。

 湖の先の獲物も減っているけど、なぜか盆地の湖の魚が増えているので、状況によっては「猟師兼漁師」ってのもアリだと思う。


 マリアベル次期男爵は、早速転移陣で実家に帰って弟に交代を打診したけど、村の規模と場所を聞いて拒否された。

 「そんなの貴族じゃないだろ?」って。だよねー。

 でも、男爵交代の書類はもう送られちゃってるので後戻りはできない。

 ホーさんにだまされたと嘆きながら、実質領主のカレルさんから引き継いだ仕事をそのままカレルさんに丸投げ返ししている。

 マリアベルさん、パーティーリーダーとしてちゃんとやってたのに意外だ。


 こうなると、ホーさんが丸投げしてたのもホーさんのせいじゃなく、カレルさんに「相手に仕事を丸投げさせる隠しスキル」とかがあるせいじゃないかと思えてくる。


 カレルさんはホーさんに復帰を頼んだけど、「おいらは戻ってあげてもいいけど、国が認めないだろうなあ」とかヘラヘラ言われてブチキレたそうだ。


 ユードラさんに吸収合併してもらうにしても盆地のことがあるから無理だし、ヴァネに代替わりするまで待つしかないね。


 ヴァネ情報では、お貴族様の状況は相変わらずみたいだ。

 公爵と侯爵は、また大規模な遊びを始めたらしい。

 どうなっても国のためにはなるらしいが、もうここは国外なので知らん。


 それから、帰還した第3王子の変貌が話題になり、王子自身が運動と食事管理の必要性を説いたおかげで、冬の間に、栄養学の始祖としてディオさんの名声が勝手に上がったんだって。

 お貴族様からの招待がファーレン経由でどんどん届くけど、学会のトラウマ以来、ディオさんは絶対に王都に行かない。


 姿を見せないディオさんが神格化されはじめているってヴァネが嬉しそう言ってたけど、その顔をするってことは、噂流してんのあんただよね?


 栄養学の神……。

 うーん。

 なんかちょっと羨ましくなってきた。


 だってさ、栄養学をダダリアに持ち込んだのは私だよ?


 もうだいぶ前に名前隠すのやめたんだから、私の名前もその栄養学の歴史の隅っこに載せてもらってもいいんじゃないだろうか?

 「現在行方不明のミリさん」でいいから。


 そうだよ。

 私だってちょっとくらい歴史に名を残したい。


 と思ったらディオさん発見。

 ちょうどお昼休憩に出てきた。

 商会は草原階層ごと属する国のない盆地に移ったから、今は完全無税。

 ガメツイ系元ぽっちゃり現美ロリBBA商会長は、すごく機嫌がいい。


 よし。

 早速、「歴史書に名前載っける作戦」開始!


 親友の頼みだ。

 大画面機材のレンタル料もちゃんと払ったし、まさか嫌とは言うまい。


 私は受付から身を乗りだして、春の盆地に向かう背中に呼びかける。


「ディオさーん、ちょっと話があるんだけどー」

最後までお読みいただき、ありがとうございました。

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