デビリン閑話④ 弱い方の姉と最強のドラゴンの話
ダンジョンにいる生き物の中で、私の好きな人の不動の第1位は主だ。
主は総合でも第1位だけど、部門別では主じゃない人が第1位なのもある。
毛づくろい部門では、この頃ディオサンが逆転で第1位になった。
お風呂から出た時に、あったかい風と涼しい風の出る魔道具を使って毛をとかしてくれるので、毛の生えぎわまでさらさらに乾くのでえらいと思う。
元第1位の妹の母は、最近はお仕事にばかり行っていて、めったに毛づくろいをしなくなったので、今は第3位に落ちた。
妹は第2位のままで、主も第4位のままだ。
弱いほうの姉は、毛づくろいには向かないことがわかって、てったいした。
弱いほうの姉は、色んな部門で、下の方の順位か、そうでなければてったいしているかだけど、ひとつだけ私に乗るうでがいい部門で第2位になっている。
第1位はもちろん主で、主を背中に乗せて森におさんぽに行くとすごくうれしくなる。
弱い方の姉は、背中に乗せておさんぽに行きたくはないけど、森の中を走るときは弱い方の姉が最も走りやすい。
妹や妹の母は、背中に乗せると、揺れて私が走るののじゃまになる時もある。
でも、弱い方の姉は、私の動きにぴったりと合わせるので、背中にだれも乗せていない時みたいに速く走れる。
でも私は、走るよりもおさんぽしたりお風呂に入ったり寝たりする方が好きなので、弱い方の姉は乗るのは上手だけど、私は「乗るのが上手だな」って思うだけだ。
もし第1位を目指すならば、私がうれしくなる乗り方を考えなければいけない。
例えば、背中に乗って、かゆいところをカリカリしながら、風の出る魔道具をいっぱい使ったら、私はうれしくなって寝るので第1位に近づくと思う。
でも、この前、弱い方の姉を乗せて村の向こうの森に行った時は、主も妹もお風呂友達もみんなほめてくれたのでよかった。
もし私と弱い方の姉が行かなかったら、けがをしたり死んだりする人もいたかもしれないって妹が言ってた。
けがをしたらなめればいいけど、死んだらなめても治らないので、私がおっきいボアをシュッて切ったのはすごく偉いって言った。
あとでお風呂友だちから、ボアのお肉をいっぱいもらった。
私はお魚のほうが好きだけど、ビロビロがついてなかったので半分くらい食べた。
おっきいボアはちっちゃいボアよりはおいしかったけど、皮をむいてなかったのでげん点した。
主が第1位じゃないもうひとつの部門は、強い生き物部門だ。
強い生き物部門だけは、ネーサン様が不動の第1位だ。
ネーサン様は古りゅうというドラゴンで、見ただけですごく強いとわかる。
私はおっきいボアに絶対勝つけど、ネーサン様は私に絶対に勝つ。
私が腕をシュッてしたら、おっきいボアは4つに切れたけど、ネーさん様だったら、私はもっとバラバラになるだろう。
ネーサン様は、今は人間の形をしている。
でも、最初にダンジョンに来た時はドランゴンだったから、人間に変身をしているって私は知っている。
ネーサン様に聞いたら、人化の魔法というのだと教えてくれた。
ドラゴンは大きいので、小さくならないと温泉に入れないと聞いて、私はなるほどと思った。
ネーサン様はブレスもすごい。
ネーサン様が新しく発明したブレスは、ブレスなのに気持ちがいい。
私にも一度やってくれたけど、気持ち良かったけど、毛の奥の方まで湿ってしまうので、もしやってもらうならやっぱりディオサンの魔道具が必要だ。
ネーサン様は、ブレスを発明したあと、温泉で働いている。
一番強いドラゴンだから、ずっと寝ていた方がいいと思うと言ったら、ネーサン様は長い間寝ていたので、寝るのはもうあきたと笑った。
ネーサン様は、ブレスを吐くのも好きだけど、今まではブレスを吐くと天気が変わったり、お家が壊れたりするので時々しか出来なかった。
でも新発明のブレスは、何も壊れないし、みんながほめるのでやりやすいと言った。
ダンジョンの温泉はとてもいい温泉だし、妹やポーラという私のお風呂友だちとも仲良くなったので、寝るよりダンジョンの方が楽しいって。
ポーラのいいところは、初めて会った時にネーサン様をたたいたところだそうだ。
何千年も生きてきて、初対面で人間にたたかれたのはすごく新鮮だったって言ったけど、私は理解できなかった。
私は妹と違って頭がそんなに悪くないけど、最強のドラゴンの言うことはむずかしいと思った。
ネーサン様は朝やってきて、お仕事をして、温泉に入って、夕方に帰る。
ネーサン様がいるときには、いるだけでダンジョンを守ってくれる。
だから、私は温泉に入ったり、主とおさんぽしたり、お魚を食べたりしていい。
ネーサン様がお家に帰ると、私が一番強いので私がダンジョンを守る。
でも、夜は来る人がいないし、もしボアとかがおそってきたら主が知らせてくれるので、私はもう一回お風呂に入って寝ていてもいいと思う。




