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転生ダンジョンマスターですが、弱小だし、辺境だし、どうやって生き残れと?  作者: 膝関節の痛み
第3章 弱小辺境ダンジョンの新事業

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10.金も贅肉も置いてゆけ!

 プレオープンを無事乗り越えて、サロンは正式オープンに向けての最終準備に入った。

 最初の予定では、続けて営業するつもりだったのだが、侯爵様からのアドバイスを受けてもろもろ調整することにしたため、20日ほど間が空く。

 その間にも維持費は容赦なく襲い掛かってくるが、なんと侯爵様までスポンサーに名乗りを上げてくれたので、もう心配することはない。


 富豪のスポンサーに大富豪の保証人。我がダンジョンは最強の後ろ盾を得たのである。

 侯爵様はここがダンジョンであることは知らないが、亡きジョゼッペ・ブリガンドーン(笑)のおかげで疑い持つ気配もない。

 ありがとう、ジョゼッペ! 君のことは忘れない。


 って、いや、ほんとに忘れないかも。

 ユードラさん、ジョゼッペのお墓まで作ったんだよ。

 想像上の人物のお墓とか、用心深いにもほどがあるけど、そういうところからほころびが出ることもあるからね。それは理解できる。

 ただ、どっからか骨まで持ってきたのはやりすぎだと思う。

 「墓をあばかれた時の対策だ。死因は糜爛性全身粘膜炎で骨には関係ないから、遺骨の手配が楽でよかった」じゃなくて! あと病名!

 ――貴族社会の闇を見た気がしました。


 さて、その調整内容のメインは、運営主体となる新商会関係となる。

 これが意外に難航した。


 ディオさんの商会でやるのかと思ってたんだけど、ダイエットサロンは魔道具開発製造と違って直接富裕層を相手にすることになるため、別商会にした方がいいということになった。

 ユードラさんは領主様で、出資はするけど直接商会経営をすることは難しい。

 貴族が直接設立した商会は、国のターゲットになりやすいんだそうだ。

 なるほど。名目上とは言え、貴族=王の臣下だから、口は出しやすくはあるな。

 一般的には、ディオさんの商会みたいに、近しい民間人をトップに据える方法をとるらしいけど、場所がダンジョンだけにそれもできない。


 結局、消去法で、新商会の会長はヴァネッサさんに落ち着いた。

 まだ爵位を持ってないのがポイント。


「いいですよー。お金持ちの子爵令嬢の道楽って感じでいいですかー?

 ちょっと我儘言った方がリアルですねー」


 あっさりOKしてくれました。キャラづくりまでしちゃうし。

 やっぱ彼女、ただもんじゃないね。


 接客スタッフは子爵家で手配・教育済みだし、そのトップが子爵令嬢ならコントロールもしやすいだろう。

 私は施設管理担当。ダンジョンをいじれるのは私しかいないから、これは当然だね。

 改装費を気にすることもなくなったし、接客しなくて済むので気が楽になった。

 ディオさんは自分の商会もあるので、設備担当の非常勤役員って感じに収まった。

 サロンの売りのひとつであるパーソナルダイエットプログラム作りは、私とディオさんの共同。


 設備面の調整は、セシリアさんの感想を受けて、ご老人や足の悪いお客さん向けに、多少のバリアフリー化を行うだけで済んだ。


 それが終わると、目先のやることもなくなったので、私は久しぶりに猟師宿に顔を出した。

 改装の時に思いついた通り、温泉を開放するためだ。

 知らせを聞いた村人が20人ほど、わざわざ森を抜けて洞窟に集まっていた。


 ああ、癒される……。

 ここんとこお貴族様とばっか会ってたから、村の人たちの能天気な顔を見るのが嬉しい。


 大きくなった後しばらく姿を隠していたリリもいて、常連さんたちと話している。


「あらー、ちょっと見ないうちにずいぶん大きくなったわねー」

「うん。成長期って言うみたい」

「あらまあ! すごいわねえ!」

「そう言えば俺も急に背が伸びた時があったな」 

「あんたは伸びすぎよ!その栄養がもうちょっと頭に回ってたらよかったのにねえ」

「何だと、このやろう!」

「何よ!」

「ケンカしちゃダメ!」


 ……平和だ。


 サロン改装の合間に開かれた「リリの変化をどう言い訳するか家族会議」は、挙手の結果、「成長した!で押し通す」というお姉ちゃん案に決まった。

 そんでいいのかと心配したけど、全然だいじょぶだった。


 最大の難関ディオさんについては、バタバタしてる時を見計らって、「急に背が伸びてきた」「あちこち痛い」「その他は至って健康」などの情報を伝えて相談し、「成長痛です。すぐに治まるので問題ないです。うらやましいのです」という回答を引き出して突破している。

 「うらやましいのね。ディオさん、背、伸びないもんね」と返したらプリプリ怒ったので、その後ちょっと時間が経ったけど、忘れてはいないだろう。

 ふたりの再会の場にはぜい立ち合いたい。


 新しい温泉は肉体労働者ばかりの村人には大好評で、宿の予約もパンパンに入った。

 厳密には魔力硫黄泉だからね。疲労回復には最高なんだよ。


 とてもいい一日だった。

 ひとつだけ文句があるとすれば、採取人のポーラさん。


「それにしても、リリちゃん大きくなったわねえ。成長するのはいいことよ」

「ですね。ありがとうございます」

「ミリちゃんのおっぱいも大きくなればいいのにねえ」


 カッチーン! 黙れ無神経巨乳!

 人が気にしてることを何のためらいもなく!

 お返事せず、にっこり笑って背を向けました。


 さて、そんな村でのリフレッシュが終わると、正式オープンだ。


 初日のお客さんは2名。

 少ないけど、侯爵とユードラさん厳選の女性たちだ。

 そのうちのひとりは、なんとレイチェルさん!モニタ参加の高級冒険者宿のオーナーだ。

 気持ち的にはもうほぼ身内。

 話を聞いたリリも大喜びで、出る予定のないロビーエリアに突撃して抱きついていた。

 てか、チェルさん、マジでセレブだったんだね。


 もう一人のマダムは、侯爵様派閥の重鎮でミスリル鉱山を抱える伯爵のお母様。

 杖をついているので、セシリアさんのバリアフリーアドバイスが早速活きた形になる。


 スタート時のお客さんとしては、人数も人選も理想的だと思う。


 自分で言うのも何だが、うちのダイエットサロンのサービスはすごい。

 結果だけじゃなく、快適でノーストレスのダイエット生活もコミットするのだ。


 毎日の運動量と摂取カロリーに応じて、食事のメニューも個別に作られる。

 ディオさんにスパルタで栄養学を叩きこまれたシェフの対応力が炸裂している。

 「低カロリーこってり」とかいう要望に余裕で応えるのは、神業としか言いようがない。


 あと新人商会長のヴァネッサさんの、謎の百戦錬磨感は何なんだろう?

 少し面倒なはずの健康チェックに、お客さんを時間前に並ばせるマジック!


 その健康チェックのデータはすぐにプログラムに反映され、心身に過度な負担をかけることは徹底的に避けられる。


「なあ、ミリ。ここはあの世か?」


 だいぶシュッとしてきたチェルさんが、割と真剣な表情で言ったけど、確かにお客さんにしてみれば、「スーパーラグジュアリーなリゾートで暮らしていれば、なぜか勝手に体重が落ちてくる」という夢のような環境なのだ。


 続いてポツポツ他のお客さんも参加し、開始1ヶ月目で参加者は7名になった。

 お城ホテルの定員は11。1部屋は侯爵様キープなので、実質稼働率70%である。


 恐ろしいことに、これで黒字なのだ。

 ダンジョンの維持費に充てる魔石代、食材費、スタッフのお給料、すべて賄っても十分おつりがくる。


 どんだけぼったくってんだよ!

 前世的に言えば、フルサービス付きの一ヶ月の滞在費が数千万円って感じだと思う。

 

 聞いた話だと、アメリカのカジノリゾートには一泊1千万超えの部屋もあったそうだから、ない話ではないかもしれないけど、それでもこの世界にスーパーセレブがそこそこいることに驚く。


 おまけに、事業計画上では、この施設はあくまで広告塔。本命は魔道具とダイエット理論に基づいたアイテム販売っていうんだから恐れ入る。


 お金持ちはお金をいっぱい使ってそれ以上のお金を稼ぐ、ってこういうことなんだなあ。

 私には絶対に無理だわ。自慢じゃないけど貧乏性だからね!


 その貧乏性的には、一日200以上あるDP収入の方が嬉しかったりする。

 やっぱ、人が来てくれてそこからDPをいただくっていうのが、ダンジョンの本質なんだよ。

 もちろん、消滅の心配がグッと減ったのはありがたいよ?

 でも、お金→魔石→DPっていう方法に頼りっぱなしは、なんか違う気がするの。

 ダンマスとして目指す方向じゃないと思うんだ。


 ま、今はいいか。おいおい考えよう。

 当面は、お客さんにはしっかり満足してもらえるようにがんばって、うちのサロンにたっぷりと落とすものを落としていただきましょう。


 お金もDPも、もちろん贅肉も!

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