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転生ダンジョンマスターですが、弱小だし、辺境だし、どうやって生き残れと?  作者: 膝関節の痛み
第2章 崖っぷちダンジョンの延命策

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12.ダンジョンダイエット始動

本日まで3話更新です。

 色々準備をしているうちにあっという間に約束の日になった。

 宿のお客さんたちが森に出かけた昼過ぎ、ディオさんは大量の機材とともにやってきた。

 挨拶もそこそこに洞窟ハウスの客間に案内すると、彼女はデスクの上に持ち込んだアイテムをいそいそと並べ、魔石ランプの光の下、スタートを宣言した。


「さあ、本格的に始めるです!」

「テッカテカやんか!」 


 新しい研究対象への期待に満面の笑顔だが、それより顔のテカりが気になって話を進められない。あと吹き出物。

 この3日間のディオさんの食生活が如実に現れていた。


「ディオさん……。痩せる気あります?」


 呆れてジト目を向けると、ディオさんは自信たっぷりに頷いた。


「もちろんですよ!

 ニホンで糖質と脂質と言われるものと同じものがこの世界にもあるのか、そしてそれが同じような効果をもたらすのか、ディオは早速自分の体で実験してみたです!」


 ものは言いようだな、おい。


「……なるほど。で、どうなりました?」

「ダダリアにも糖質と脂質は確実に存在するです。

 そして食べ過ぎると体重が増加するです。

 正確なデータを取るために、体重計測の魔道具を作ったので間違いありません。

 つまり、ニホンの理論はこの世界でも有効だということです!」


 キリッ!じゃなくて。

 食いたいものを食いたいだけ食っただけよね?


「わかりました。

 その確実に存在する糖質と脂質はたっぷり補給したようなので、今日からしばらくは甘いもの無しでも大丈夫ですね」

「……え?」


 ドヤ顔が一瞬で哀しげに曇ったが、ずっとテカっているのでちっともかわいそうじゃない。

 てか、甘味OKだと思ってたの?その考えこそが甘いんじゃ!

 イラっとしたので、スパルタで始めることにした。競馬好きだった前世の父親風に言えば「出ムチ連打」である。

 まあ、体重計調達の問題を言い出す前に解決してくれたので、スタートダッシュに成功したら、考えていたご褒美を少しだけ出してあげるけどね。


さて、まずは2日間分のデトックスをしていただこうか。


「では、準備できたようなので、今からダイエットを開始します」

「おー!」


 ディオさんがぷくぷくの拳を突き上げる。


「ちゃんと痩せますから、プログラムに従ってくださいね」

「おー!」

「まず、最初は軽い断食です」

「お、……ダン?」

「断食です。今日いっぱい飲み物以外口にしてはいけません」

「し、死んじゃうです!

 糖質と脂質は生きるためのエネルギーです!」


 しっかり勉強したようだけど、全く説得力がない。

 ダイエット中にお腹空かせたぽっちゃりはみんなそう言うんだよ。前世の私とか。


「1日くらいじゃ死にません。エネルギーは、ディオさんの体にたっぷり蓄えられています。

 それに、この3日間でさらにため込みましたよね?その顔のテカりと吹き出物が証拠です!」

「うっ……」

「増やすほうだけ体を張ったんじゃ、絶対に痩せませんよ?

 研究ってそういうものなんですか?

 プログラムに従うって今言ったばかりですよね?あれは嘘ですか?」

「嘘じゃないです! 研究するです!」

「ならよかったです。

 じゃあ、これは預かっておきますね」

「あっ!」


 私はデスクの上から、ビスケットが入った布袋を没収した。

 はみ出すほど詰め込まなければ気づかれなかったのに。


「これはマジックバッグに入れときますね。

 痩せたら返します」

「痩せたら……」

「はい、痩せたらです。ダイエットなので。

 勝手に食べたりしませんよ?

 私も断食しますから、一緒に頑張りましょう!」

「……ありがとうです。

 そうですね、頑張るです。

 よろしくお願いします」


 私が伴走を約束したことで、ディオさんのやる気はなんとか復活した。

 彼女のモチベーション維持のため、私は食べなくても平気なことはとりあえず秘密。


 そんなわけで、少しグダグダになりながらも、ディオさんのダイエットがスタートしたのだが、断食なので基本やることがない。

 ほんとは多少運動した方がいいんだけど、宿のお客さんには会わせたくないので、森に出るわけにもいかないし、ごつごつした岩がむき出しの薄暗い洞窟内では、転んでケガしそうで怖い。

 設備関連は最低限整える必要があるかも。


 まあ、時間はたっぷりあるので、プログラムを説明するついでに、そのあたりのことも相談して決めていこう。


 私が考える方法は、当然、前世で私がやってきたものになる。

 もっとこの世界、ダダリアに合った方法もあるのかもしれないが、それは研究者のディオさんに体を張って見つけてもらうとして、私は自分の知識の範囲でできることを進めるだけだ。

 ディオさんの3日間の暴食の結果を見れば、それでもちゃんと効果は出ると思うけどね。


 今回のダイエットは、ダンジョンパンを使った糖質制限がベースになる。

 初日の断食で食べ物のありがたみを再認識し、ゆっくり噛んで食べることを心がけてもらえば、食事量自体も少し落とせて、摂取カロリーはさらに減らせるはずだ。


 前世では20代女性が1日に必要なカロリーは2000kcalって言われてた。

 でも、そもそもカロリーという概念自体がなかったこの世界で、正確なカロリーを知る術はないので、まず家族を参考に大まかな基準値を定め、ダイエットを進めながら調整していくことにする。

 カロリー換算表があれば簡単なんだけど、それは説明の中でディオさんの研究テーマのひとつに押し込んだから、そのうち天才の頭脳でなんとかしてくれると思う。


 基準値は、母さんはまだちょっと太めなので、お姉ちゃんの食事量を仮に2000kcal相当として考える。

 ディオさんの方が小柄で運動もしていないので、1割減の1800kcalを一日の必要カロリーに仮設定した。

 ディオさんはエルフだけど、種族特性とか何もわからないのでそこはひとまず無視。


 そのあたりを細々取り決めたり、この世界の食品の分類をしたりするうちに、気が付けばダイエット初日は終わっていた。

 あっけなく断食成功である。


 ディオさんが空腹を訴えることがなかったのにはちょっと驚いたが、翌朝「胃のムカムカがなくなりました!」と朝食のダンジョンパンをがっついたので、原因は前日までの暴食による胃もたれだと判明した。

 ね?断食してよかったじゃん!


 気を良くしたディオさんは、モチベーション高くダイエットに取り組んだ。

 糖質制限とは言っても、ダンジョンパンを好きなだけ食べられるので、制限されている感じは全くない。


 一日のメニューは、例えばこんな感じだ。

 朝、干し肉と豆のスープと野菜サラダ。昼、ダンジョンパンのサンドイッチと果実水。夜、ボア肉と小芋のシチューと焼き野菜とチーズ。糖質推定9割減だ。

 シンプルだけど素材の鮮度がいいので、舌の肥えたディオさんも大喜びで食べている。


 この世界の重さの単位はコルガルというが、ディオさんがぱっと見80kgオーバーで、開始前に測った体重が82コルガルだったから、感覚的には1コルガン≒1キログラムで問題なさそう。表記も「kg」にしちゃおう。


 仮の目標として設定した、ダダリアの3週間=30日で4kg減を目指して、ディオさんは真面目にダイエットに取り組んだ。

 リアルタイムのデータを使っての論文執筆や、食品ごとのカロリーの計測、そのための魔道具の製作など、研究面での成果も出しつつ、ディオさんの体重は順調に落ち、30日で目標を上回る-5kgの減量を達成した。


 私たちは薄めていないジュースで乾杯した。

 だが、私は敵の存在をすっかり忘れていたのだ。


 恐ろしい敵。その名を停滞期という。

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