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いもうとのはなし

 その日、わたしはいもうとをみつけた。


 わたしが、なわばりのちょっと外がわであばれるボアにきがついたとき、いもうとは ボアに足でガシガシふみつけられていて、血がいっぱい出ていて、しんでいるみたいだった。

 わたしは、はじめはいもうとだとはわからなくて、ただ、みているだけだった。

 でも、そのしたいがピカっと光って、きずも血もきれいになったとき、わたしはすぐにいもうとだってわかった。


 わたしは、ここじゃないとおくのもりで生まれて、すだったあとは、あちらこちらをたびして、今のおうちをみつけた。

 そのとちゅうで、べつのほらあなにすんでいたときに、けがをした生きものをはっけんして、めずらしかったので、ほらあなにもってかえった。

 その生きものは小さくて、おいしそうじゃなかったし、わたしはおさかなのほうが好きなので、きずをなめて、ほらあなのおくにねかせた。

 きずはなめるとなおるので、その生きものは少ししたらげんきになった。


 それからは、しばらくその生きものといっしょにくらした。

 いつもわたしにあまえてくるので、かわいくなって、いもうとになった。

 手足がながくて、木のぼりがじょうずで、キキキっていうなきごえだった。

 いもうとの毛づくろいは、とてもきもちがよくて、からだがあたたかくなるかんじがした。

 いもうとをたすけてよかったとおもった。


 わたしのからだが大きくなると、そのほらあなはせまくなって、ちかくの川には小さなおさかなしかいなかったので、わたしはあたらしいおうちをさがしてたびに出た。

 いもうとは、いつのまにかかれしができていて、そのばしょにのこったので、わたしたちはそこでべつべつになった。


 ボアはしつこいので、まだいもうとをガシガシしていて、また血が出てきたので、わたしはしぬとおもって、たすけにはいった。

 うううってこえを出したので、しんでなかったので、わたしはおうちのどうくつまではこんで、むかしとおなじようになめてねかせておいた。

 むかしもなおったので、なおるとおもう。

 いもうとはむかしよりだいぶ大きくなっていて、からだの毛もなくなって、くさをからだにまいていたけど、手足はまえとおなじように長くて、あたまの毛のいろもおなじだったので、いもうとでまちがいなかった。


 けがはいっぱいあって、なおるまでじかんがかかるかもしれないので、ねかせるまえにしっかりなめたので、やっぱりすぐになおった。


 でも、わたしのことはわすれているみたいで、びくびくして毛づくろいにこなかった。

 ざんねんだったけど、そのうちおもい出すかもしれないので、そっとしておいた。


 でも、なかなかおもい出さなかったけど、ねどこのくさがやわらかくなったし、どうくつもかぜがふいてねやすくなったので、もしかしたらわたしがおさかなをたべにいっているあいだに、たすけてあげたおれいをしているのかもしれない。

 そんなことより、いっしょにねむってたり毛づくろいをしてくれたりしたほうがいいのに。


 そして、ねていたら、毛がなつかしいかんじでなでられた。

 これはいもうとの毛づくろいだとおもってうしろをみたら、いもうとににた小さい生きものがいた。

 いもうとが小さくなったかとおもったけど、においがちがうので、べつの生きものだ。


 その生きものが、「でびりん」ってはなしかけたとき、わたしはその生きものがあるじだとわかった。

 わたしのなまえも、でびりんだとはじめてわかった。


 あるじはりりというなまえで、わたしのはなすことがわかる。

 このどうくつはだんじょんというばしょで、あるじはそのだんじょんの「こあぶんたい」だとおしえてもらった。

 わたしは「けんぞく」というのになったみたいだ。

 よくわからないけど、このどうくつはすみやすいので、あるじはずっといっしょにすんでいいよといったので、うれしかった。


 いもうとはわたしのことばがわからない。

 毛づくろいはまえよりうまくなっているけど、かゆいところに気がつくのうりょくは、まえよりすこしわるくなっている。

 もうちょっと上、っていっても下をかいたりする。


 あるじより大きいのに、ことばをりかいできないのは、あたまがよくないからとおもった。

 からだは大きくなったけど、あたまはあまりよくならなかったみたいだ。

 あのときのかれしがみあたらないのは、そのせいでわかれたのかもしれない。


 そのあと、いもうとのあねという生きものに会った。

 その生きものは、いもうとよりすこし大きくて、せいかくがわるかった。

 わたしのことばはちょっとわかるみたいで、いい合いになった。

 あるじが止めなかったら、かじっていたとおもう。

 さいごはわかいしたので、もうおこってない。


 わたしとせいかくがわるい生きものは、どちらもいもうとのあねだ。

 もし、しょうらいいっしょに住むことになったら、わたしのほうがつよくて、むかしからあねをしているので、えらいほうのあねなので、むれのじょれつは上とおもう。


 そういうはなしをいもうとにおしえてあげたいけど、いもうとはまだわたしのことばがわからない。

 わたしがあねだということも、このまえやっとわかった。

 りかいがとてもおそい。


 でも、だんじょんの生きものはしなないとあるじがいっていたので、ゆっくりきょういくしていこうとおもいました。

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