心の目、にゃんにゃ心経
にゃんまるは仏の間に連れて来られた。部屋の奥には猫の仏像がドッシリと構えていた。にゃん空はにゃんまるにある巻物を渡した。
「コレは、にゃんにゃ心経である……」
にゃん空が言うには、にゃんにゃ心経を唱えれば、にゃ闇は消えると言う話だった。しかし、にゃんまるはその話を上手く飲み込めなかった。
「にゃ闇なんて無いにゃ! 早く魚食べたいにゃ〜……」
それを聞いて、にゃん空は笑った。
「にゃにゃにゃ……お主、先ほど可愛い雌猫と出会ったであろう……」
にゃんまるは驚いた。
「にゃにゃ! にゃぜそれを!」
にゃん空は心の目でにゃんまるの過去を少し読み取ったのだ。にゃんまるの額に汗が流れる……
にゃん空は話を続けた。
「にゃにゃにゃ……その雌猫に対してにゃ闇があるのだろう……」
にゃんまるは何のことか分からないが、図星のような気がした。
(にゃにゃ……確かにルルは可愛いし、でもにゃ……)
にゃん空は高らかに笑っていた。
(この猫坊主、ただ者じゃ無さそうにゃ……)
にゃんまるは嫌々だが、仕方なくにゃんにゃ心経を唱え始めた。
「にゃん、じ〜、ざい、ぼ〜、さつ……」
しかし、にゃんまるはにゃんにゃ心経を唱えている内に寝てしまった。
「喝にゃ〜!!!」
にゃん空はにゃんまるの肩を箒で叩いた。
にゃんまるはハッと目を覚ました。
「寝てはいか〜ん!」
にゃん空はにゃんまるを叱ったが、にゃんまるは納得がいかなかった。
「こんなん唱えてたら、眠くなるにゃ! 何がにゃんにゃ心経にゃ! とっとと魚出すにゃ〜!!!」
にゃんまるは喚きちらしながら暴れ出した。
「物分かりの悪い猫にゃ! 喝にゃ〜!!!」
にゃん空は再び箒を振るった! しかし、にゃんまるはその箒をひらりと躱した!
「もう我慢ならないにゃ!」
そう言うとにゃんまるは部屋を飛び出した。
「きっと、台所に魚があるにゃ!」
にゃんまるは廊下を駆けて行った。
にゃん空はにゃんまるの後を追った。
「魚を盗む気にゃ? そうはさせないにゃ!」
にゃん空はにゃんまるに対して、何かしらのお経を唱え始めた。
すると、何故かにゃんまるの動きが鈍くなった。
「にゃ、にゃんだこれは……?」
にゃん空は笑った。
「にゃまりのお経にゃ! にゃ闇を持つ猫が聞くと動きが鈍くなるにゃ!」
しかし、にゃんまるは魚を食べたい一心で、とうとう怒りが爆発した。
「にゃんじゃもんじゃ〜!!!」
にゃんまるの周りに、またたび寺を揺るがすほどの風圧が走った!?
それを見たにゃん空は目を見張った。
「こ、これは……」