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Uranus(8月1日)

「今日は家全体を一気に掃除したい気分なの!

だからしばらくは家には帰って来ないでねー」

 雫星の元へ出掛ける直前、母からそんなことを言われた。

「はいはい」

 そう言って家を後にした僕は、今日は一人で雫星の元へと向かっていた。

 またも閉まっていた病室の扉から嫌な予感はしたが、開けてみればやっぱり雫星はベッドの上で眠っていた。

 母に頼まれていたためすぐに帰るわけにもいかず、一旦は眠る雫星の横に椅子を用意し、棚の上に荷物を置いて腰を掛けてみる。

 けどこうやって眠っている雫星をじっと見つめていると、ふと嫌な予感が過ったりもする。

 車椅子の話を聞いてから雫星の病状が深刻化しているのは明確であり、そう思うと今だって本当に息をしているのかも分からなくなる。

 もしもこのまま目を開けなかったら……何故だかそんな悪い想像が幾多にも及んで浮かび、不安になった僕は気付けば雫星の手を握ってしまっていた。

 するとさっきまで不安で一杯だった感情は、雫星の手が今も温かいことを実感し穏やかになっていた。

 ちゃんと鼓動は動いている。けれど一向に目を覚ます気配がない雫星の手を握り続けているうち、新たな不安が頭を過る。

 この鼓動が今に止まってしまうのではないか。一秒一秒雫星の鼓動が動いているのを感じる度、安心すると同時に同じだけの不安にもなっていた。

 僕にはまだ雫星との間にやり残していること、言えていない後悔だってある……

 きっと今口に出したところで聞こえているはずも、伝わるはずもないことを理解している上で言えた。

「ごめん……きっと分かってくれているのに、ちゃんと伝えることができなくて……」

 もしこれが本当に聞こえていたとしたら、どれだけ楽だっただろうか。

 それでもこれが今の僕に出来る精一杯の懺悔だった。

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