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Uranus(5月22日)

 少しして、軽快な足音と共に内海先生が入って来る。

「おっどうしたどうした?とうとうぼっちになってしまったか?」

 どこか嬉しそうに入ってくる内海先生に僕は嫌々ながらに聞いてみる。

「何の用ですか?」

 すると大袈裟なリアクションで先生は答える。

「いやぁ、教室の壁ってびっくりするくらい薄いんだな。

廊下までお前たちの会話が丸聞こえだったよ」

 僕はそんな丸分かりの嘘に、無表情になって言う。

「それは先生が扉を少し開けて盗み聞きしてたからじゃないですか?」

「そっかそっか。バレてたか。

なら言わせてもらうが、はっきり言って時間の無駄だな」

「僕だって望んでこうなった訳じゃないですよ。」

「それで全員と喧嘩ってのは尚更良くないだろ」

「ならどうしたら良かったんですか?」

「全員が後悔しない道を選ぼうとしているが、人が死ぬ上で後悔しない道なんてない。

それにお前たちは全員雫星が長生きすることを望んでいる。その時点でもう破綻しているからな。

だから後悔を減らすしかない。一日でも一秒でもいい。少しでも多く減らすんだ。

それを雫星が死ぬまでの間ただ只管繰り返す。

今お前らが一番望んでいる時間はどういう時間だ?」

「全員で笑ってる時間……」

「なら今はどうだ?まるで逆行しているだろ。

反抗している時間なんか、今のお前たちにはないんじゃないか?」

「でも今のうちに反抗期がないと大人になってそれが来るって聞きますよ。」

「そうなった時は俺が全部受け止めてやるよ」

「雫星のためなら何でもするんですね」

「そりゃあ雫星のことを一番に思ってるのは俺だからな」

 笑顔で答える先生に、僕は下向きに溜め息をつく。

「それで?どうするんだ?」

「正直火ノ川の言い分には納得出来ないところもある。

でもそう言った時間が少しでも無駄だと言うのなら、今は全てを飲み込んで雫星のためだけに動きます。

けどその先は覚えといてくださいよ」

「うぅ怖い。でも分かったよ」

 そしてお気楽な調子で内海先生は教室を後にした。

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