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Uranus(4月6日〜24日)

 新学期を迎え、僕たちは晴れて五人全員が高校三年生となった。

 学年が変わるということはクラス替えがあり、必然的に五人全員がバラバラになるケースも考えていた。

 クラスは全四クラス制。僕の望みとしては、五人のうちの誰か一人でも同じクラスになれば良い方であり、あまり自分から行動しない僕は、同じクラスでなければ今よりも疎遠になってしまうのではとありもしない想像までしてしまっていた。

 でもそんな予想に反し、蓋を開けてみれば五人全員が同じクラスになるという結果だった。

 担任も変わらず内海先生であったことから、完全に内海先生の配慮だろうと悟りはしたが、クラスの中でも至って目立っているわけではない僕たちは、五人全員が同じクラスだったことでクラス内での話題に上がることさえなかった。




 新学期が始まり数週間と過ぎた頃、同時に僕たちがバイトを始めてから半年以上が経過していた。

 最初は苦戦ばかりで覚えるのに必死だった作業が、今では意識せずとも手が勝手に動いてしまうようにもなっている。

 ただ失敗というのは、そういう慣れてきた時にこそ起こるものだった。

「何でこんな事もできないんだ!」

 ここで働き始めた当初からほとんどミスなく熟してきたが、最近になって目立ったミスばかりが続くようになり、とうとうお客さんからクレームまで来る事態となっていた。

「今までの仕事の出来には感謝していた。

けど店に損害を与えるようなら、君をいつクビにしたって構わないんだからな!」

 僕は苛立つ店長に必死に頭を下げていた。

 わざとしたのではないか。そう思われてもしょうがないミスだったのかもしれない。

 それでも今クビになるわけにはいかない。だからこそ謝り続けることしかできなかった。



『何でこんな事もできないんだ!』

 その言葉が夜になっても頭の中で繰り返されていた。

 これまで温厚だったはずの店長があんなに怒鳴る姿を僕は初めて目にした。

 今まで不要なことに頭を突っ込むことはなく、人に怒られるようなことを避けながら器用に人生を生きてきたつもりだった。

 ただ今回に至っては仲間の仕業でもない。僕自信が一人の人間として怒られる、否定されるに至ったのだ。

 そしてふと思った。仕事を辞めれば解放されるだけの話。それなのに何故ここまでこの仕事にこだわるのか。

 そう考えるうち、色々な思い出が頭を駆け巡った。

 雫星のためにと切磋琢磨し、仕事を見つけ励まし合った日々。

 自分だけじゃない努力や忍耐を重ねる日々の中で、たった一つの目標のために走り続けていた。

 その時間を糧に様々な思い出が生まれ、きっとそれはこれからも……

 そんな全ての努力を捨てることができず、明日何があるか分からない日々に簡単に手放すこともできなかった。

 正直に言えば、今すぐにでも逃げ出したいと思う。頑張った末に逃げるのは悪いことじゃない。

 それでも後悔だけはしたくない。それなら一体どうすれば…どうしたらいいんだろう……

 そんなことを一日中考えていた次の日。気づけば仕事先だけでなく学校からも足が遠のき、僕はその足が赴くままに雫星の元へと向かっていた。

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