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Uranus(4月1日)

「おぉ!ここかー!」

 花見スポットへ着くと、宙斗はそれなりの声量でそう叫んでいた。

 そこは今でも穴場のままだったのか、いくつか空き場所もあり、お腹を空かせていたこともあって安心する。

 持ってきたレジャーシートを広げ、待ちに待ったランチタイムが始まる。

「ジャーン!」

 そう言って火ノ川が持ってきた重箱を広げると、中からは美味しそうなちらし寿司が顔を出す。

 これは今日の花見に何を持って行くかの話になった時だった。

『それなら昼食は私と宙斗が作るとして、中身は何にする?』

 そう言った火ノ川に対し、僕は思った。

『え?普通はちらし寿司じゃないのか?』

 僕にとっては家族でお花見の際に毎年決まって食べていたものだったが、四人の反応を見ればそれが普通ではなかったのだとすぐに分かる。

 後から母に聞いてみれば、僕がちらし寿司を好きだったためだとその理由を知った。

 でも火ノ川は言った。

『良いんじゃない?簡単に作れるし』

 そんな経緯があり、僕たちの花見飯はちらし寿司となった。

 けれどそのちらし寿司の見た目は、家族で食べた時よりもずっと輝いて見えるのは何故なのか。その理由はすぐに分かった。

「今回は宙斗が奮発して高めの刺身をふんだんに使ったから!」

 そう言った火ノ川と、何とも言えない顔をしながらも満更ではなさそうな宙斗。

 僕たちはそんな思いも全て汲み取りながら、ご飯一粒も残すことなく有り難く平らげた。

 お腹も満たされ、上を見上げれば満開の桜が空と僕たちの間を覆っている。

「私たち、今めっちゃアオハルしてない?」

 そう言った結月に雫星は首を傾げて聞く。

「アオハル?」

 すると結月は顔を顰め、少し悩んだ末に答える。

「うーん上手くは言えないけど。

つまりは最高な時間を過ごしてるってことかな!」

 合っているのか間違っているのか。誰もそのやり取りに肯定も否定もできなかったが、言われた雫星はそっかとでも納得するように笑顔で頷いていた。




 その後また歩き出した僕たちは、広い公園内の桜を食べた分の消化も兼ねつつ歩いて見て回り、そろそろ帰る頃かと少しずつ駅の方へ向かうことにする。

 すると少し駆け足になった宙斗が何かを見つけて言う。

「見ろよ!」

 僕たちも近づき見てみると、突如に火ノ川は不機嫌そうな顔になる。

「青虫じゃん。」

 けどその隣の方を指差して宙斗は言う。

「じゃなくてこっちだよ」

 そこには今にもサナギから羽化しようとしている蝶の姿があった。

 青虫であれば苦手だったはずの女子たちも、これには感動とでも言うように目をキラキラと輝かせている。

 そして無事に羽化した蝶は、満開に咲く花の中をすり抜けるように羽ばたいていく。それはまるで春という新しい日々が始まったのだなと告げられる瞬間……

 けれど今日まで決して誰も口に出しはしなかったが、分かっていることもある。

 僕たちと雫星が出会ってからもうすぐで一年。つまりは雫星の余命宣告の日が、もう目前まで迫ってきているということでもあったのだ。

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