Saturn(1月9日)
当日、僕たちは内海先生に指示された場所で先生が来るの待っていた。ところが、指定された時刻からしばらく待っても先生の姿は一向に現れない。
もしかしたら内海先生も結月や宙斗と同じようなタイプだったのかもしれない。
「遅いなぁ〜」
それでも最近は遅刻という遅刻もめっきり減少傾向にあった、元遅刻常習犯の宙斗でさえ待ちきれなくなっていた頃だった。
僕たちのいる場所から微かに車のエンジン音が聞こえ、その音は徐々に大きくなっていく。
視線を向ければ、遠足にでも行くかのような小型バスが僕たちの方へと向かってくる。まさかと思う中、そのバスは僕たちの方へと近付きそこで止まり、その運転席からは涼しげな顔で内海先生が降りて来る。
「遅くなったな」
そう言って当たり前のように振る舞っているが、僕たちは全員思う。
「これに乗って行くんですか?!」
正直内海先生の自家用車に乗って行くのではと想像していた。仮にこれが自家用車であったとしても、それは僕たちの想定外であることに変わりはない。
けれど内海先生はその質問が意外だとで言いたげな顔をして答える。
「当たり前だろ?って言ってもまぁレンタカーだけどな」
「レンタカーって、わざわざですか?」
「俺の車は二人乗りなんだ。
それに助手席には将来の嫁さんしか乗せないって決めてるからな」
そんな寒い返答に、僕たちには綺麗な沈黙が流れる。
「それにしても小型バスって……」
火ノ川は呆れるを通り越した感情でそう言っていたが、単純に遊びに行く程度の気持ちだった僕たちと先生の間には大きなギャップがあった。
でもそんな僕たちの反応に内海先生は気付く気配さえないまま言う。
「こっちの方が遠足感出るだろ?それにゆとりもあって良いかと思ってな」
「いや、あり過ぎなのでは……」
僕は独り言のようにそう言ってしまったが、これ以上声を大にして言ったところでもう遅いことは重々承知している。
ただ遠足という言葉に、雫星だけは最終笑みを浮かべていたのは確かだった。




