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Saturn(1月6日)

 三学期が始まり、学校に行けば新年を迎えた言葉が飛び交っている一方で、僕たち五人の間ではその言葉を口にすることはなかった。口にしてしまえば、これで最後になってしまうのではないかという不安が付き纏うことになるからだ。

 きっと世の中のほとんどの人は年にいくつかある行事を大事にすることで、一日という時の大切さを実感しているのかもしれない。けれど名も無い一日にさえも価値を感じている僕たちにとっては必要がないことだ。

 そしてまた今日から始まった学校という日々に皆が気落ちはしていたが、今週が終わればまたすぐに三連休が来る。

 その三連休の最終日は成人の日だが、まだ成人もしていない僕たちには何ら関係のないこと。けれど年末年始も絶えず出勤をしていた甲斐あってか、その日は四人が揃ってお休みをもらっていた。

 きっとその日になればテレビには成人式に関するニュースで溢れ、街には袴や振袖を着た人たちが溢れるだろう。それを目にした時、雫星は僕たちには計り知れないことを色々と思い巡らせるのかもしれない。

 どうすればそんな状況を避けられるのか……

 そんな時、テレビでは次の休みに雪が降るというニュースが流れていた。今週末にはこの冬一番の寒気に見舞われることもあり、その影響なのかここ最近では滅多に降ることさえない雪が此処らにも薄らとだが積もっていた。


 いつもの昼休み、僕は皆にそのことを伝えると、三人は雪という言葉一つで能天気に燥いでいた。

 ここから少し外れた辺りになら雪がそれなりに積もっている場所もあるはずだ。日々の仕事疲れもあり気は引けてしまうが、雫星が笑顔で過ごせるためならと電車を乗り継ぎ遠出をすることも考えていた時だった。

「そういうことなら、雪の広場はどうだ?」

 いつもの如く、内海先生はこの話も盗み聞きしていたらしい。

 僕は誰の許可も得ず当たり前のように話に横入りしてくる先生に冷たい眼差しを向ける。

 そんな眼差しに内海先生は余裕の笑みを浮かべて言った。

「何だ?俺が連れていってあげてもいいと思っていたんだが?」

 その提案に僕たちは不覚にも目を輝かせてしまう。

「連れていくって?」

 けれど冷静になって火ノ川が聞く。確かにただ内海先生も一緒に電車に乗って付いてくるだけの話であれば、僕らにとっては迷惑そのもので何のメリットもない話だ。

 なので僕たちはその質問の答えに耳を傾ける。

「もちろん車だよ」

 求めていた答えが返ってきたことで、僕たちには笑みが溢れていた。

 やはり日々疲れを隠し合っている同士だからか、口に出さずとも三人が僕と同じことを考えているのはよく分かる。

 けれど少し前までは雫星と会うのすら反対していたはずで、テストの結果も満足とは言えないものだった。内海先生が一回のテストを通じてそこまで態度を変えてしまうのには何処か違和感もあった。

 だが三連休も目前に迫っている。

 細かいことを考えるのは、事が済んでからでも良いと思っていた。

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