Jupiter(11月3日〜8日)
それぞれのバイトの関係もあり、次に全員が揃ったのはそれから二日後のことだった。
「私ね、行きたいなって思うところあったよ!」
会ってすぐからそう言い出した雫星に、僕たちはそれがどこかと皆興味津々になって聞く。そんな僕たちの期待に応えるように満面の笑みで雫星は言った。
「京都!」
「えっ京都って……」
雫星がそう言い出した瞬間、さっきまで期待に溢れていた僕たち四人の時は止まってしまっていた。
「みんながこの前修学旅行で行ってた場所。
私も同じ場所に行きたいって思っちゃった。迷惑かな……?」
きっと伝えたのは内海先生だろう。内海先生は担任にも関わらず修学旅行を欠勤していた。その理由は体調不良とのことだったが、雫星のところに来られる元気があったのなら僕たちの代わりに行って欲しかったくらいだ。
雫星は多分僕たちが修学旅行を楽しんできていたと勘違いしている。それでもそれに対して怒る素振りも、悲しそうな素振りも雫星には無かった。
「別にいいんじゃない?」
雫星がそう願うなら、僕たちはそれを叶えてあげるだけの話。けれどあの修学旅行の悪夢が繰り返されるだけなのではと一抹の不安もあった。
「ならさ、もっと楽しい修学旅行にしよ!
学校的なつまらない部分は削除して、楽しいところだけ残してあとは私たちなりのアレンジで!」
「それは良い案かもな」
結月の提案に、僕だけでなく雫星も満足しているようだった。
何はともあれ、場所は京都と決定した。雫星がそこを選んだ深い理由は分からないが、出会った当初にはあまり自分の意見を主張しなかった雫星の変化を、僕は密かに嬉しくも思っていた。
「冬休みってまだ先過ぎるよー」
束の間のひと時である昼休み、お弁当を食べながら結月が怠そうにそう言い出した。
話だけが進んでいた冬休みの旅行計画だったが、実際には冬休みまでにはまだ二ヶ月ほどはあり、その日数は僕たちにとっては長過ぎる時間でもあった。
「それならさ、次の休みにここに行くっていうのはどう?」
僕たちは少しでも全員で動ける日があるよう事前にシフトの休みを相談し合い、休日が被るように示し合わせている。
其れ故に次の土曜日がその日であり、僕はその休みを使って行くことを提案した。
「確かにいいかも!でもどうして水族館なの?」
提案自体は良いとしてくれたものの、結月は不思議そうに僕に聞く。なので僕も特に深い意味はなく答える。
「前に日本一大きな水族館がテレビで流れてた時、雫星が食いつくように見てた気がしたから、好きなのかなって」
「そういうことなら俺も賛成だな!久しぶりに水族館にも行きたいし!」
「まぁどうせなら、次の休みにどこか遠出でもしたいって思ってたしね」
そんな訳で四人の中では勝手に水族館となっていたが、その後すぐに雫星にも伝えたところ、「なら準備をしなきゃ」と張り切っていた。




