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Jupiter(11月1日)

 修学旅行が終わり一週間もすれば、そんな一大イベントを過ごした日々があったことさえも忘れそうになっていた。学校に行けば三日も寝泊まりを共にしていたはずのクラスメイトが、またただのクラスメイトに戻ってしまったように映る。

 僕にとってはその方が有り難くもあるのだが、相手の方がどう思っているかは定かではない。

 放課後になれば僕たちは雫星の病室へと向かう。

 これまたいつもと何ら変わらない光景のはずなのに、久しぶりに感じる雫星の姿を見ることで、その修学旅行というものの期間の長さを改めて思い知ることになっていた。

 けど僕たちが雫星の前で修学旅行の話をすることも、それに触れられることもなかった。僕たちはこの四日間、修学旅行とは言わずにバイトの関係で来られないと雫星に伝えていた。

 もちろん楽しむつもりなどは端からなかったのだが、仮にでも雫星だけが仲間外れのように思われるのだけは避けたかった。そのためお土産なども敢えて買わない選択をした。

 その甲斐あってなのか、修学旅行どころか結月と雫星は夏休みに行った五人での旅行写真を見ながらキャッキャと燥いでいる。

「この時楽しかったよね」

「うん!」

「ねぇねぇ冬休みもまたどこか行かない?」

 その結月の問い掛けは雫星だけではなく、僕たちにも向けられていた。

 以前までの僕たちなら分からないが、普段からそのために働いているということもあり、皆当たり前のように賛同する。

「それじゃあどこ行く?」

 どこから用意してきたのか、旅行冊子を鞄から取り出し広げ出す結月を見て、少し前までの結月じゃ考えられないくらいの用意周到さに僕たちは呆気に取られていた。

「私はやっぱり沖縄かな!」

 結月は沖縄の特集ページを開きながら言う。

「みんなは?」

「私は冬休みなんだし、北海道とかの方がいいかな。

ジンギスカン食べたいし、石狩鍋とか、ちゃんちゃん焼きとか」

 火ノ川は真逆の北海道を推薦していたが、その主な理由が食で動いていることだけは確かだった。

 その後二人に続き宙斗も海外に行きたいと言っていたが、この場にいる全員がパスポートを持っていないため即却下となる。

「陽は?」

「僕は、雫星が行きたいって思うところかな」

 結月に聞かれそう答えると、雫星のためという趣旨が頭から抜けていたのか、我に返ったような顔をする三人に僕はため息を吐いてしまう。

 そして結月はくるりと雫星の方に体を回転させる。

「なら雫星に宿題です!

私たちが次にここに来るまでに、行きたい場所を決めておいて下さい!」

「うん、分かった」

 こうして旅行先は雫星の返答を待ってから決めることになった。

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