Jupiter(9月16日〜17日)
そんな二学期が始まると、すぐに僕たちにとって二回目となる文化祭という行事も始まる。僕たちのクラスはほぼ満場一致でお化け屋敷をすることに決まっていたが、何故選りにも選ってお化け屋敷なのか。僕はジェットコースター同様の苦手意識から、あまり準備等を率先して手伝うことはなかった。
一日目は学校内だけでの開催のため、雫星は来られない。なので僕たちは一日目に自分たちの役割を終わらせることにし、二日目を思う存分遊び回ることにした。
こうして生徒の誰もが楽しみにしていたであろう文化祭、その初日。僕はお化け役であったが、脅かす側としては何の苦手意識もなかったため、楽しそうにする結月や火ノ川と一緒に特に感情もなく現れては消えるを繰り返していた。
ただその無表情が却って好評でもあり、クラスの数人からは歓喜の声も上がってはいたが、僕にとってこれがほぼ通常運転なこともあり、あまり喜べもしなかった。
ちなみに僕たちがお化け役に徹している間、宙斗は入り口前で受付をしていた。どうして一人だけ僕たちとは別の持ち場を選んだのか。それは宙斗も僕と同じでお化け屋敷が苦手であったがために、受付しか出来なかったからだ。けどこんな文化祭のお化け屋敷ごときでそんなだとは、僕以上に酷いなと心の中では宙斗のことを見下していた。
そして特に問題もなく無事に一日目を終えたのだが、お化け屋敷という文化祭でも定番のジャンルだったためか、僕たちのクラスは人気投票で二位にまで躍り出ていたらしい。
待ちに待った二日目、僕が雫星にそれを伝えると、雫星は同じクラスの一員としてそれを喜びつつ、おめでとうと僕たちにお祝いの言葉もくれていた。
そんな雫星は今日も学校だというのに、いつもの制服姿ではなく私服で登校していた。もちろん僕は制服で来るよう言おうとしたのだが、雫星は不登校とされているため、制服を着て文化祭にだけ来れば誤解を生む可能性があると内海先生から諭されていた。
けれどそんなことを気にも留めていなさそうな雫星は、既にワクワクとした表情で辺りを見上げている。ここはやはり雫星中心に動きたかった僕たちは、どこに行きたいかと雫星に問うと、すぐに綿菓子屋だと答えが返ってきた。聞けば雫星は綿菓子が好きなんだそう。
「えーお化け屋敷じゃないのー?」
その答えに結月は悲しそうにしていた。
「まぁ良いでしょ?雫星が行きたい場所なんだから」
火ノ川の言葉に、一度は結月も渋々ながらにそれを聞き入れる。
「でもお化け屋敷もあとで行きたいな」
けれども純粋である結月は、雫星が最後にそう言ってくれただけで飛び跳ねて喜んでいた。
早速綿菓子屋へと向かおうとするが、雫星はここに来る途中で貰ったというパンフレットを熟知するまで目を通したのか、未だどのお店が何処にあるのか全く把握していない僕たちとは違い、綿菓子屋の位置も完璧に把握していた。
そのため綿菓子屋へは、雫星に案内してもらうことにする。
綿菓子屋に着くと、まだお腹が空いていなかった僕を除き、他の四人はそれぞれ色取り取りの綿菓子を注文していた。




