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Jupiter(8月8日)

 今日は雫星が定期検診の日であった。そのため雫星に会うことは叶わなかったが、その他の相変わらず暇を持て余していた僕たちはファミレスで昼食を共にしていた。

 僕にとってこの前の旅行はただの責務的に終わるものだと思っていたが、そう思わせる四人がすごいのか、将又僕が変わってしまったのか。そんな僕の心にも楽しかったという感情がしっかりと芽生えていたらしい。

 注文した料理も届き、騒がしかった席は一時的に静かになる。その最中に僕は口を動かしながらも、店内に貼られていた求人応募のポスターに自然と目が行った。

 そんな僕の視線を二度見して辿っていた宙斗は、いつもの間抜け面で聞いてくる。

「何見てんだ?」

 聞かれた僕もぼーっとしたまま気が抜けたように答えてしまう。

「バイトしようかな。」

 何の気なしに言ったつもりだったが意外や意外、静かだった席はこの僕の発言によってまた騒がしい席へと逆戻りしてしまう。

「どうして急に!?まぁ高校生だし、法律的には問題ないけど……」

 その中でも幼馴染である結月の驚きが最も顕著であった。僕のことを昔から知っている結月からすれば、僕が働いているところなんて想像も付かないのだろう。

 四人で過ごす最近の日々はとても有意義な時間だ。けれどこれまでにもその楽しい時間は、ほとんどが何も無い場所から生まれた訳ではなかった。残酷なことに、楽しい思い出が成り立つためには多くのことに代償を支払わなければならない。

「雫星とこれから付き合っていくにあたって、多少なりともお金は要るかなって。

それに……僕の家は元々金銭的に裕福な家庭じゃないからさ。そろそろ働き始めるには良い頃合いかなって」

 話している途中、旅行代を一人で負担していた火ノ川と目が合い気まずさを感じた僕は、飽く迄もこれは僕自身の問題だと付け足した。

「それなら私もしようかな!」

 そう言い出した結月に、今度は僕が驚きで動揺をしてしまう。

「えっ?いや、するのは僕だけで結月は別に……」

「そうだよ結月。仕事って思ってる以上に大変なんだよ?」

 僕の意見に珍しく火ノ川が賛同していた。それでも結月の言葉はただのノリなどで言い出したものでは決してなかった。

「それでも私たちなら頑張れるでしょ?雫星のためだもん!」

 その言葉を聞き、僕は結月を制止するのをやめた。それは火ノ川も同じだったらしく、その一部始終を見ていた宙斗は隣に座る火ノ川の肩を掴んで言った。

「なら俺たちも働かないとだな!俺たちだけ抜きなんてのは寂しいからな!」

 こうして僕たちは夏休みの間に、全員が初となるバイトを始める決意をした。

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