Mars(8月3日)
「いよいよ明日だね」
病院に集まっていた僕たちは、明日に向けて全員で持ち物チェックなど一通りの最終確認をしていた。
結月は不慣れな雫星の隣で一緒に確認しながら、そんな言葉を掛けている。
「絶対寝坊するなよ」
水を差すようではあったが、明日は新幹線移動になる。
遅刻したじゃ許されないので、浮かれている暇はないと一言忠告だけしておく。
「分かってるよ。そんなに心配なら朝電でも掛けて来たら?」
「それはいいよ」
僕は面倒なことはあっさりと断ってしまう。でも結月は頬を少し膨らましているような気がした。
「じゃあ私が起こしてあげるから」
「ありがとう流和」
「序でに宙斗もね」
「良いのか!」
どうやら面倒事は火ノ川がまとめて引き受けてくれるらしい。
宙斗に関しては遅刻しないという信頼が僕たちからすれば無い上、序でとまで言われているのに喜びを露わにしていた。
それを見て能天気とは良いものだなと心の底から思ってしまう。
「雫星は?」
「雫星はそもそも遅刻なんてしないんだから必要ないだろ」
「そっか。昨日も一番早くに着いてたもんね」
「え?あっうん、そうだね……」
火ノ川の問いかけについ僕が答えてしまったが、雫星はどこかそう返事した後に寂しそうな顔をしていた気がした。
「それじゃあ明日ね!」
そう言って火ノ川を筆頭に三人は病室を出たが、僕も一緒に出ようとしてやっぱり気になり振り返る。
「明日電話しようか?」
「え?」
「さっき火ノ川にはああ言っちゃったし、僕で良いならだけど……」
「うん!いいよ。ありがとう」
雫星は恥ずかしそうに頬を赤らめ、そんな返事をしてくれていた。




