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Mars(8月1日)

 昼を回り、そろそろお腹も減ってきたことで時間の経過を知らされる。

 ちょうど買い物も終わり昼ご飯でもと思ったタイミングで火ノ川から連絡が入る。待ち合わせ場所はここから近くにあるフードコートの中だった。

 やはり夏休みということもあり、フードコートの賑わいは想像以上だった。三人がどこにいるのか分からずしばらく宙斗と二人で探し歩いていると、不意に背後から背中を二回ほど叩かれる。後ろを振り返れば数時間ぶりに会うことになる雫星の姿があった。

「こっちだよ」

 その案内のおかげで僕たちは何とか合流することができた。


「じゃあ今からゲームしよ」

 席に着いた途端、火ノ川から言われた第一声はそれだった。

「ゲームって?」

 気怠く聞き返した僕に、ニヤリとした火ノ川は説明を始める。

「今から全員食べたいものを選んで注文する。

届いた料理を見てそれぞれの値段を予想し、五人全員の合計金額を出す。

その金額が実際の金額から一番離れていた人が全員分のご飯代を払うってだけ!簡単でしょ?」

 大方火ノ川が自分の飯代さえも浮かせたいという考えからだろうが、これで勝てば僕にもそれは利益となる。

 ルール通り全員が注文を終え、それぞれのお店からお盆を続々とテーブルに運んで来る。条件は全員同じで自分の頼んだ金額しか分からない。それからある程度このフードコートの基準値段を計算しても良いのだろうが、あまりにも好みがバラけた注文内容に自縄自縛の結果となっていた。

「まぁまずは食べよっか!」

 結月がそう言ったことでお腹を空かせた全員が戦闘体制は維持したまま黙々と料理を口に運んでいく。

 そしてほとんど食べ終わり、ある程度計算したところで各々が自分たちのスマホのメモ画面に予想した金額を入力する。

「じゃあ入力出来た?」

 全員の返事を聞き、火ノ川の「せーの!」という言葉で皆が自分たちのスマホ画面を公開する。

「陽が一番安くて、雫星が一番高い予想だね」

 そう言った結月の値段は雫星の次に高く、続いて宙斗、火ノ川の順番であった。

 そして全員のレシートを出し、火ノ川は全員に見守られながら計算をしていく。

「合計金額は7148円!」

 その額に僕は冷や汗を滲ませた。

「金額から一番遠かったのは地崎だね」

 してやったりな火ノ川の顔がやけに鼻につく。

 元々僕の予想金額が一番低く実際の金額よりも大幅にずれていた上、出費が嵩むのは痛手でしかなかった。

「雫星すごいね!100円の差しかないよ。ニアピンだね!」

 結月から称賛され、雫星は嬉しそうに残りの料理を食べ切っていた。

 ただ今から考えても払うのは僕か雫星の二択になっていた。その場合雫星に払わせてしまう展開を考えると僕の方が割に合っていたのだと、またこれさえも肯定しようとしていた。

 それでも一番高いメニューを頼んでいたのが火ノ川だったことだけは許せない一件だった。


 昼ごはんも食べ終え、ある程度のものを買い揃えていた僕たちは、午前中から稼働していたこともあり満腹感の後の眠気に襲われつつあった。

「もう帰ろっか」

 そんな結月の一言から僕たちはその後すぐに解散することとなった。

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