Mars(7月6日)
雫星といる五人での時間に慣れてきたこともあり、また在り来りな日常を取り戻しつつあった。
ただ僕たちにとって今という日常が当たり前だったかのように感じ出す時、そういう連絡は前触れもなく急に訪れるということ。
水曜日の朝、今日は寝坊せずに余裕を持って起きれたことを嬉しく思えた日だった。
そしてそれはまるでこのためにとでも証明するように、僕の携帯が騒がしく鳴る。
「もしもし」
電話番号からそれが雫星からだということは分かっていた。けどその内容までは考えもせず、何気ない気持ちで出てしまう。
「あっ陽?おはよう。朝早くにごめんね」
「それは別にいいけど。どうかしたの?」
「うん、あのね……」
そう言われ、続く言葉が返って来ないまま少しの間が生まれたとしても、僕は何だろうと未だ待っていた。
しばらくして覚悟を決めたようなその言い方は、初対面の時に打ち明けられたあの感覚と似ていた。
「今日は学校に行けそうになくて。多分、明日も明後日も……
だからみんなに伝えておいてくれないかな?」
似ていた感覚ではあったが、それがショックな内容なのかどうかが僕にはすぐに分かれずにいた。元気そうな雫星の声で伝えられた内容は、僕にとって病という深刻さを物語ってはいなかったからだ。
「そっか。なら今日はそっちにみんなで行くよ」
「うん、ありがとう。待ってるね」
そこで通話は終わった。
良くも悪くも、僕がそれで気を落とすことはなかった。




