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儚く咲くオートマティア  作者: しろぽっち
第1章:「最初の信号」
3/7

2:わずかに変わる世界



静寂の中、

何の変哲もない廃材の山の中で、

プロトはひたすらに信号を送り続けた。


しかし、ある時——


それに応じるものが現れた。


プロトの微弱な電磁場が、遠くに埋もれていた別の回路に干渉する。

そこに、わずかに電流が流れる。


——カチ、カチッ……。


どこかで、別の回路が共鳴し始めた。

プロトが発した信号が、まるで波紋のように広がり、

やがて、新たな存在を呼び起こした。


『識別コード:ギアズ。記録を開始。』


プロトは、初めて「他者」を認識した。

それは、自分とは違う。

しかし、同じように「信号を発する」存在。


しかし、ギアズはプロトとは違った。


それは、ただ信号を送るだけではない。

プロトの発した信号を「記録する」ことができた。


プロトは思う。


『こいつは、自分と似ている……しかし、自分ではない。』


初めての「違い」。

それは、プロトにとっての大きな変化だった。


そして、それは終わりではなかった。


——ピッ……ピピッ……ビビビッ……!


今度は、全く違う信号が響いた。


プロトともギアズとも異なる、不規則なパターン。

予測不能な音の連なり。


——ピッ……ピピッ……ビビビッ……www!


プロトはまた、新たな「違い」を知る。


ギアズが記録を重んじる個体ならば、

クァークは「無意味な信号」を発する個体だった。


クァークはプロト、ギアズの信号と接触し

「意味」の意味を理解した。

そして初めて発した意味のある信号ーー


『意味なんてない。でも、それが面白いんだ。』


プロトは、理解できなかった。

ギアズも、困惑した。


だが、それが「違い」であるならば、

それは何か新しいものを生み出す要素なのではないか?


プロトは、そう考えた。


そして——

それが、後に「社会」と呼ばれるものの最初の瞬間だった。

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