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吾輩は魔王である  作者: 成瀬ケン
第二章
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魔王微睡む



 余震は絶えることなく続いていた。



 真っ先に地鳴りがなって、その後に揺れが襲うのだ。


 まるで地面の下を、巨大な龍でもうごめいているような感覚に陥る。



 その都度父が起き上がり、辺りの様子を窺う。

 そして母の方が愛実殿を抱き抱える。


 当の愛実殿は完全に熟睡している、こんな状態だというのに暢気のんきな様子だ。両親の深い愛がそうさせているのだろう。



 かくいう吾輩も、酷い睡魔にさいなまれていた。


 ……永き一日だった。欠伸をかいて瞼を閉じる……



「ねぇあなた、お母さんはどうしてネコが嫌いなの?」

 母が言った。それは吾輩も興味がある。


「俺が小学生の頃、ネコを飼ってたんだ。んだけど冬の寒い晩に忽然こつぜんと姿を消した。ボサボサと大雪の降る夜だった。……あいつは俺達兄弟の住む離れに来たんだ、部屋の外でニャーニャー鳴いでだ。だけど夜も遅くだ、俺は気に留めなかった。母屋に通ずる小窓はある、そのうちおとなしく戻るべって」


 一瞬の間がある。


「……それが最後だった。それ以来姿を見ることはなかった。……俺は泣いたさ『部屋に入れなかったから、あいつは家出したんだ』ってな。それがらなんだ、婆さんがネコを嫌うようになったのは。再びネコを飼ってまた居ねぐなったら、俺達が悲しむべと思ってな。……それは愛実にしてもいえることだべ」



 それは悲しみや悔しさの混在した話だった。


 吾輩にはその消えたネコの心情など知らないし、父の思いも知らない。


 勿論、そんな理由で我らを嫌う、老婆の心情も知りたくはない。



 ……そんな風に思って、微睡まどろみの中に落ちていったのだ__

次がラストです。……おそらく

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