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事件発生

夜が明け目を覚ました光太は、さっそくギルド登録に向かう準備を始めました。準備を済ませ店主にギルドの場所を聞きいた。

「そうですね…ギルドは…ここを出て左側に…大きな建物があります…そこがギルドの建物です…」

となんともたどたどしい様子で答えた。

光太は不思議に思ったが、

「ありがとうございます。」

と言って宿泊所を出た。大きなギルドの建物を目指し歩く光太でしたが、どうも気になることが。国の住民が光太をじろじろ見てくる。気にしないように歩くがやはりみんなが見てくる。ひそひそ光太を見ながら話している。会話の内容は聞こえない。ようやくギルドへ到着。ギルドの扉を開けるなり、建物の中にいた冒険者の視線が一斉に光太へと向いた。ドキッとした光太だが受付に立っていた女性に向かって、

「ギルドに登録したいのですが…」

と言うと、女性もドキッとした表情を見せ

「少々お待ちください。」

と言うと、受付の奥にあるドアから出て行った。1分ほど待つと女性が再び出てきて、

「では、受付をしますのでこちらに記入をお願いします。」

と言うと紙を1枚渡してきた。それを受け取り氏名〈コータ〉、年齢〈15〉、出身〈キーザ村〉等の記入をしていく。記入が終わり受付へ渡すと、

「ありがとうございます。では、最後に登録料の銀貨1枚お願いします。」

と言われ、

「登録料が必要だったんですね…」

と言って、袋に手を伸ばした瞬間入口の扉がバタン!と大きな音を建てて開いたかと思った次の瞬間何人もの警備隊が続々と入ってきて光太を取り囲んだ。

「貴様を不法滞在の疑いで逮捕する。」

と警備隊に取り押さえられる光太。必死に抵抗したが、数が多くては何もするすべがなく、手と足を縄で縛られ、口にはタオルでふさがれていた。捕まった光太の目の端にバーゴーの姿をとらえた。バーゴーのパーティーのギルド内にいたのだ。助けを求めようとした瞬間バーゴーはニヤリと笑みを浮かべていた。その瞬間何かを悟った光太は抵抗することをやめた。



「ここに入ってろ!」

と牢屋に押し込まれた光太はただ茫然と一点を見つめていた。牢屋の鉄格子から小さな一本の光が光太の背中を悲しく照らしていた。

(バーゴー達は自分を助けてくれた恩人ではなかったのか?どうして自分なんかを売ったんだ?何かメリットがあるのか?)

呆然としながらも、バーゴー達の行動を疑問に思っていた。短剣も袋も取り上げられた。

太陽から月の光に変わりまた太陽の光を背中に浴びた。一睡もすることなく、ピクリとも動くことなく、与えられた食事はそのままの状態。

(やっぱり自分は人とかかわってはいけない人間なんだ…。)

ここで看守の一人がカギを開けて光太に声をかける。

「出ろ。王様がお呼びだ。」

と言うと光太を連行する。連れてこられたのは大きな玉座の間。入口から赤い絨毯が敷かれている先には椅子に座る王様、横にいる副官、絨毯を挟むよう両側に多くの警備兵が整列している。そして絨毯の真ん中に証言台のようなものが置かれていた。証言台へ立つように促された光太は、証言台に立つと、手かせと足枷を着けられた。証言台に立ち一度周りを見渡した。すると警備兵と並び前方に自分を通した門番とバーゴー達の姿もあった。一気に怒りが込み上げてきた光太がバーゴー達に言葉を発しようとした瞬間、

「これより被告人コータによる不法滞在の裁判を執り行う。」

と副官が話し始めた。

「貴殿は昨日、許可書を持っていないにもかかわらず、門番を言葉巧みに誘導し、この国に不法に滞在した。間違いはないか?」

と尋ねられた光太は

「違います。そこにいる門番に通っていいと言われたのでこの国に入ってきました。」

と言いましたが、副官は門番に対し

「それは本当ですか?」

と確認したが、門番は

「いいえ、そんなことはございません。許可証を持っていない人間は、この国に入ることはできない。と言うことはこの国の法律です。法を犯すようなことは決してしておりません。」

と強めの口調で言った。

「門番はこのように申しているが、貴殿は反論あるか?」

と、追及されたので光太はバーゴー達を指さし

「そこにいるバーゴーが門番に“自分の弟だから”と言うことで通してもらいました。」

と言うと、副官は、

「それは本当ですか?」

とバーゴーに確認しましたが、バーゴーも案の定

「いいえ。私はそのようなこと一言もいておりません。確かに門番に耳打ちはしましたが、世間話をしただけで、奴が自分の弟なんて言ったことはありません。」

と言うと光太を見てにやりと笑った。

「このように言っているが反論はあるか?」

と聞かれた光太だが、このように言われたら何も言い返すことがなかった。実際話と門番が何を話しているのか聞いたわけではなく、証拠もない。

「いいえ、ありません。」

と言うしかなかった。副官が王様に目配せをした。これらのやり取りを見ていた王様が、

「ではこれより判決を言い渡す。被告人コータを1年の禁固刑ののち国外追放とする。二度とこの国に足を踏み入れてはならない。それから、悪しきものを報告してくれたおぬしらには褒美を遣わそう。」

と伝えられるとバーゴー達と門番たちは深く頭を下げた。皆の口元はニヤついている。光太は命じられるがまま牢獄へと幽閉されることとなった。

(ただ魔法とスキルを覚えて自分のいた世界に返りたかっただけだったのに…)



1年間の禁固刑はまさに地獄であった。手足は縛られ自由に動かすことができない。食事は夜の1度のみ。石の床に寝て、トイレは1日朝昼晩の3回と決められていた。それ以外の時間は常に拷問。警備兵のストレス発散のためのサンドバッグやおもちゃにされた。光太の心が黒く染まるのに1年もかからなかった。初めのころは

(こんな世界に来なければ…、神様のせいで…、門番のせいで…、バーゴー達のせいで…、あいつらのせいで…)

と悔しさと怒りを抱いていたが、半年過ぎたころには光太の心はすでに枯れ果て後の半年は考えることをやめ人間ですらなかった。


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