ほどほどの秋
近すぎても
遠すぎても
よく見えないから
ほどほどの距離がいい、と
あなたは
ほどほどの声音で
そう言って
秋はほどほどの
日差しと明るさで
うっすらと
横顔を包んだ
馴れ馴れしさもなければ
素っ気なさもない
少し
触れあい
なぞるような
風が吹いて
さらりと乾いたそれは
夏の湿度とは
距離を置き
冬の冷気には
まだ及ばず
あなたと
わたしの間の数歩に
立ちはだかる
清潔で
透き通った硝子
きっと適切な
厚みで
踏み込まないから
踏み込めない
そんな
ほどほどの結界が
見上げた空を
切なく 青くして
カラカラの落ち葉
踏めば
クシャリ、と
曲がった 音を立てる