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1時間小説シリーズ

1時間小説シリーズ ー 予定調和な後悔

作者: Argon

人ってたまにおかしくなるよなぁ。


米を炊こうと台所に立つとふと思った。

突然死にたくなったり、奇声を上げたくなったり、奇行に走りたくなったり。

普段絶対にしないようなことをしたくなる。

そしてすぐに「いや、ないな。」っと、冷静になり理性がそれを抑え込む。


どうしてこんなことを思ったのか、今がそれだからだ。

米を洗おうとして何故か食器洗剤に手が伸びている

「ああ、俺。疲れてるんだ」

ここ最近寝るか、バイトに行ってるか、youtubeショートで時間を溶かしている。

遊びたくて、欲しいものがあって、でも就職は面倒だからフリーターしてるのに、

遊びも、買い物もせずにただ時間になったからバイトに行っている。

そんなことを考えていると自分が嫌いになってきた。

そして思う。


このまま、おかしなことをするのも一興だ。


別にこれは誰かの迷惑になるようなことではない。

米農家に申し訳ないってことぐらいだ。

「やるか」

米の入った炊飯の釜に洗剤を思いっきり入れる。やるならとことんだ。

そして水を入れる。

当然、泡立つ。泡で米が見えなくなり、ある程度水がたまれば止める。

いつも米をとぐ要領でやると、違和感しかない

米を洗ってと言われた、これまで家事一切をしてこなかった人が洗剤で米を洗う笑い話を聞いたことがあったが

やってみてもなんか、笑えてきた。


ある程度といだら水と泡を捨て、再度水を入れる。

とまた泡が復活した。

こういう細かいものを洗った後の洗剤って落ち切るの手間だよなぁと思いながらも再度研とぐ。

すると俺は重要なことに気が付いた。


これ、どうしよう。


そうだよ。おれは米が食いたくて米を炊こうとしているんだ。

なのになんでこんなバカをやっているんだ。

せっかくの丸一日休みなんだから久々に何か作ろうと、買い出し前に米を炊くときになんで冒険してるんだよ


「馬鹿だなぁ」


気づけば米を洗い終わり、あとはメモリどおりに水を入れればいいのだが

この洗剤米を炊いて食べていいのか手が止まっている

普通は捨てる。だって、どんなにきちんと洗おうともこれは洗剤米だ。

問題なく食べれるかもしれないが洗剤米だ。食欲が一切わかない。


しかし、今日はおかしなことをしようとやったのだならとことんやってみるべきじゃないのか。

幸い、夜は外で食べようと1合分だけだ。


「やってやる」


おれは今日冒険するんだ。


水を入れ、炊飯器にセットして、ボタンを押す。

やれるだけのことはやった。あとは待つしかない。

俺は達成感を感じつつ、おかずを買いに出かけた。



俺は…



何やってるんだ俺、ふつうすてるだろ。

ほかほかに炊けたご飯の前で分かっていた後悔をした。

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