7匹 奪われたファーストキス
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・いた」
見つけてしまった。
中にいたのは、男の人。
右耳にピアス・・・って。
「おおおおかみだぁがふ!!!!!!!!!」
そして、いきなり口をふさがれる。
「なんだとてめぇ。昨日の恩を忘れたのか?」
「んーんーっ!?」
しゃべれない。
昨日の恩って何?
一体なにがどーなってんの?
夏流は、口をふさいでいた手を強引にはずす。
「ぷっは!!あのね、昨日の恩って何よ!!?知らないわよそんなの!!てか早く離してっ!!!!!!!!!」
夏流はさわぐ。
でもおおかみの力には勝てず、とうとう押し倒されてしまった。
「っせーな。口封じしてやろうか?」
おおかみは困ったような顔で言う。
・・・こいつ、結構かっこいい?
だああ!
そんなこと考えないで、抵抗しなさい!!
「口封じなんていらないから!早く離してーーっ!!!」
夏流は騒いだ。
そのとき、くちびるになにかが触れた。
「!!!!!!????????」
途端にしゃべれなくなる。
・・・・うばわれた。
「静かにしないからだ。ばーか」
「っ!!??」
ひどい。
ひどいひどいひどいひどい。
ひどいひどいひどいひどいひどいひどいひどいひどい。
ファーストキスは、自分で決めた人って思ってたのに。
こんな最低おおかみに、こんなかたちで奪われるなんて・・・・・!
涙が出てきた。
「っく・・・ぅ・・・・」
やっぱり、男の人は苦手。
だいっきらい!
そんな夏流を見てか、おおかみは夏流から少し離れた。
「・・・・ごめん」
そうつぶやいて、背を向ける。
夏流は涙をぬぐった。