14匹 おもわぬハプニング!?
「えええええ!!?」
静かな空間に、もえぎの驚く声が響いた。
当然ほかの生徒はこちらをじろじろと見ている。
夏流はいそいでもえぎにしーっと指を立てて注意した。
「夏流ちゃんのクラスの出し物・・・コスプレ喫茶、なの?」
食事を早く終えたため、二人は図書室でもえぎの探している本を探しながら、朝の話をしていた。
「うん。磨綺が提案して、多数決で決まっちゃった」
「うーん。うれしいのか、うれしくないのか・・・」
夏流が苦笑いしながら言うと、もえぎはぶつぶつをなにかを呟いたが、夏流には聞こえなかった。
「ところで、もえぎのクラスはなにやるの?」
「私のところは、お化け屋敷をやるみたいだよ」
「お、お化け屋敷・・・」
「私、絶対に夏流ちゃんのクラスいくから、夏流ちゃんもよかったらきてね。あ、ということは、一緒に行動できなくなるってことなの?」
「そうね、あたしは前半仕事やるつもり」
「じゃあ私は後半だね」
「おっけー」
小声で話しをしていると、本棚の一番上の段に、もえぎの探していた本を発見する。
「あ、もえぎー!みっけたよ」
いいながら夏流は爪先立ちになり、手精一杯のばす。
だが、それでも届かない。
あと少しというところで届かないのはなんとも悔しいので、夏流は絶対にこの本ととってやるという気持ちになった。
「夏流ちゃん。無理してとらなくていいよ?今 脚立もってくるから、ちょっとまってて」
「大丈夫よ!もえぎが持ってくるまでに、本をとってみせるから!」
「危ないよ~。すぐもってくるね!」
するともえぎは駆け足でその場を立ち去っていった。
それを確認すると、夏流は一度体勢をもとにもどす。
そして、不敵な笑みをうかべた。
「さーって。ふふふ・・・!ジャンプ力には自信あるんだから・・・!」
夏流は、ジャンプしてその本をとろうと考えた。
もえぎに見られればきっと注意されると思うので、急いで片付けねば。
夏流は数歩下がり、助走をつける。
・・・夏流は、普通よりも運動神経がずば抜けている。
勉強のほうは残念なことになるが、体育の成績だけはすばらしかった・・・
そして。
「ぃよっと!!」
ジャンプした。
・・・でも、結局本の背をかすっただけで、取れる気配はまだなかった。
「もういっちょ!」
またも助走をつけてジャンプ。
すると、もうちょっとで本がとれるところまで跳ぶことができた。
「まだまだ!!」
そして、もう一度。
助走をつけるために、数歩さがる。
次に、標的の本めがけて跳ぶ自分をイメージする。
夏流は、一歩を踏み出した。
そして、ジャンプ!
そのとき、思わぬアクシデントが発生することになろうとは・・・。
「やば!!!」
夏流は本に手を届かせることにしか集中していなかったため、ジャンプのときに体勢を崩してしまった。
背中から落ちる―――!!!
そう直感したとき。
ふわり、と温かい何かが夏流を受け止めた。