13匹 コスプレ喫茶
「さてさてみなさん!おっはよう!!!今日はちょいと時間をもらいます!!!」
夏流は、朝のHRから磨綺がテンションあがりまくっている様子を見ていた。
「ん~?なんかあったっけ?」
夏流は磨綺にきいた。
「なにをいってるんだいなっちゃん!再来週にはこの学校の伝統と呼べるでっかい行事、学校祭があるじゃないの!!というわけで、学級委員長として少しホームルームの時間をもらっています☆」
彼女は鷹倉磨綺。この学級の委員長をやっている。
なぜか夏流のことを"なっちゃん"と呼ぶ、とても楽しい人だ。
いつもはっちゃけていて、ウワサだと二次元や美少女・美男子好きのヲタクらしいが、こういうときみんなをまとめる力があるため、とても頼りになる。
「それで、クラスの出し物をきめるっていうか!!もうあたし決めておいたから♪あのね、コスプレ喫茶にしようとおもうの!!反対意見はうけつけず、賛成意見だけうけつけます!!はい、決定!!」
「へぇ、コスプレ喫茶ね、コスプレ喫茶・・・って、え!?」
磨綺のいきおいに流され、コスプレ喫茶を軽く受け流すところだったww
しだいにクラスがざわめきはじめる。
「あたしなりに考えた結果よ?このクラスにはかぁいい女の子いっぱいいるし、なんといっても!琶月がいるの!これを一体なにに使うの!?お化け屋敷なんてクソくらえよ!」
磨綺の力説に、みんな言葉をうしなってしまった。
琶月は「私がどうかしましたか?」といいたそうに困った表情をしていた。
そんななか、一人の男子が言った。
「おい、コスプレ喫茶ってお前・・・それって、ただたんにお前の趣味じゃ」
「こうちゃん!!なっちゃんにはツンデレ巫女がぴったりよね?」
「・・・・・」
「なんでそこであたしなの!?」
彼は、大霧幸介。
気さくな性格で、いろんな人から相談をうけているらしい。
このまえ聞いた話だと、ある女子が先輩に告白するといって幸介にきいてもらったそうなのだが、その真剣さと優しさに胸を打たれ、先輩ではなく幸介に告白してしまったらしい。
だが幸介は、「ほかに好きな人いるから」といって、その女の子を泣かせてしまったそうだ。
夏流は、先輩に告白するという相談をもちかけた女子が一発で乗り換えるほどなのだから、そうとうな曲者というイメージを持っていた。
そのとき、もう一人の男子が声をあげた。
「磨綺、オレは賛成だ!大賛成だ!!絶対にやってやろう!!」
「さすが諏澄!わかってるねぇ!!」
彼は、苗上諏澄。
ノリがよく、いつもたくさんの人が周りにいて笑わしている。
夏流がおもうに、モテるとは程遠い人物。
「じゃあみんな。ホントにコスプレ喫茶にしちゃうからねーっ!」
「おーう!!」
「・・・・・・・・」
諏澄しか返事をしなかったことが不満だったのか、磨綺は頬をふくらまして「女子は耳ふさいで目ぇとしてー。男子はちょっとこっちこーい」といった。
すると、男子は教卓の周りに、女子は耳をふさいで目を閉じた。夏流ももちろんのこと耳をふさぎ目をぎゅっと閉じる。
あれでみんな言うことを聞くんだから、磨綺は案外すごいのかもしれない。
女子達の視界は真っ暗になり何も聞こえないようにしたとき、磨綺は男子達にこんなことをいっていた。
「おい君達。あたしには、どうして君らが賛成してくれないのか理解できないよ?」
「だってよ、コスプレ喫茶のなにがおもしろいんだ?」
「それこそ理解できない!!よく考えてみて。なっちゃんが巫女服を着て、ジュースを持ってきたとするわ。それで、『別に、あんたのために持ってきたんじゃないんだからねッ!』って赤くなりながら言う」
おおぉ・・・!
それを聞いて、一部の男子が頬を染めた。
磨綺は、『こいつらは夏流萌えか。しかも浅い。これくらいでいいのかこいつら』と心の中で笑っていた。
それでもうなずかない男子がいる。
なかなかマニアックなものがいるなと判断し、妄想対象を琶月に変更した。
「じゃあ琶月が、あのたゆたゆと揺れる、一度は触ってみたい!弾けんばかりの果実を強調気味のミニスカメイド服を着ていたとする。もちろんニーソとカチューシャは必須。絶対領域も守るわ。そんな琶月が『ご主人様・・・これでいいですか?』とかいって、ただでさえ短いスカートを持ち上げたらどうさ?なんなら猫耳もOKだし、どうせなら首輪もつける?まぁこれはあくまで、あたしの趣味だからね。いろいろ想像してみてよ」
言い終わるほうが少し早いかくらいのとき、桃真が、鼻血がでそうないきおうで顔を真っ赤に染めた。
そしてほとんどの男子がニヨニヨとしていたww
磨綺は『かるい男ばっかだなぁ。こんなんでいいのか』と、またも心の中で笑っていた。
その後コスプレ喫茶の多数決をとると、男子全員が賛成したため、クラスの出し物が成立した。