11匹 感謝
「で、あたしは何をすればいいの?神様」
夏流は、堂々と居間でうつぶせになってねっころがっている神様に、不機嫌そうに言った。
「別になにもしなくていんだけど。ただ今日から俺もこの家の住人になるってだけだしな」
神様は体勢を変えずにそう言うと、ひらめいたようにアホ毛(みたいなもの)みたいなものをぴょんと動かす。
そして、ごろんと体を夏流のいる方向に向け、ねっころがったまま目を細めて妖艶な笑みを浮かべた。
「しいていうなら、『巫女のご奉仕』?」
――神様が、めっちゃエロかった件ww
「な!!??」
夏流はよからぬことを想像してしまい、頭がボンと爆発してしまった。
神様はそんな様子を見てクスクス笑うと「冗談だっつの」と言ってもとの体勢にもどった。
そういえば。
最初会ったときもセクハラしてきたし。
「・・・神様にも、性的欲求不満ってあるのかなぁ」
夏流がそんなことをぼやくと、神様はきっちりと聞いていたらしく、眉間にしわのよった表情で夏流の近くによってきた。
「お前・・・変な勘違いしてねぇか・・・?」
「別に、なんもしてないよ」
「嘘つくんじゃねぇよ」
「ついてないよー神様ー」
夏流は、なぜか心が温かかった。
なんというバカみたいな会話。
でも、だかかこそ。
そんな会話がしたかったから。
とても久しぶりだったから。
素直には言えないけど。
神様はやっぱりいい人だなぁと夏流は思う。
おばあちゃんが死んじゃって、お父さんにも全然会えなくて。
寂しがってたあたしのために、神様はここにきてくれたんじゃないのかな。
夏流は、神様の存在に感謝した。
「ありがと。神様」
「お、おう・・・?」
いきなり言われて戸惑っている神様。
意外にも照れているらしく、そっぽを向いてしまった。
そんな神様が、とてもかわいかった。