10匹 負けたのは
「あんた、何言ってんの?」
「・・・神様だ」
「頭大丈夫?」
「・・・神様だ」
「あのね、冗談もほどほどにしてくれないと、困るのよ?」
「か・み・さ・ま・だ☆」
「あたしのうちの神様は、そんなにキモくないわ?」
「だぁああああ!!!うっせぇなぁ!!神様だっつってんだろ!!?素直に信じろ!!」
「怒鳴ってもダメよ。何か証拠でもあるの?」
あたしは、自ら神様と名乗るおおかみを信じられなかった。
こんなのがあたしの神様なんて許せない。ありあない。
証拠でも見せろって感じなのよ。
そう思っておおかみにそういうと、おおかみはにくたらしく笑った。
「はっ・・・!証拠か?いいぜ。ぜってーお前を信じさせてやる」
「やれるもんならやってみなさい!誰があんたを信じるのよ?」
「お前だよ。決定的な証拠をつきつけてやる!」
にしても、このおおかみはどうしてこう子供なの?
「年上とは思えない!」
夏流がいやみったらしく言うと、おおかみはにやりと笑ってある呪文を唱えた。
「83 54 85」
「!!??」
夏流は反射的に自分の体を抱きしめた。
みるみるうちに顔が赤くなっていく。
そのざまを見たおおかみは、心底うれしそうに不敵な笑みを浮かべる。
「どうだ?なんで知ってんだって感じだろ。神様はおみとうしなんだよ!!」
「くっ・・・!」
その呪文は、夏流のスリーサイズだった。
「な、なんであんたが知って・・・・・!?」
「だーから!俺神様なんだって。てか別にいいだろ。結構イイ体してんじゃねえの?」
「な・・・!!?」
夏流はそのストレートな言葉に、歯を食いしばることしかできなかった。
でも、誰が信じてやるもんか!!!
「へぇ・・・まだ信じねぇつもりなんだ?じゃあ、今までお前に告ってくたやつの名前、フルネームで言ってやろうか?」
「やっ、やめてよ!!!」
実は、夏流は意外とモテる。
そこまでひんぱんに告白されているわけではいが、夏流に恋心を抱いている男子はそう少なくはないだろう。
『モテる』といえば、きっと同じクラスの玖堂琶月のことをいうのだろう。
琶月はホントにかわいい。
男女かまわずモテモテで、夏流も琶月のことは嫌いじゃない。
おっとりしていて一緒にいると和む。
発育のいい完全的なボディは、はっきりいってうらやましい。
そしてとても優しく、頭もいいし運動神経抜群。
そのうえ、一部の女子から人気があるかわいい弟もいて・・・。
・・・なんだ。
なぜあたしは、琶月の魅力を語っていたのだろうか。
そこも彼女のすごいところだと思う。
さて、話しに戻ろう。
あたしはおおかみを、キッと睨んだ。
「なんか今、すっげぇ上の空だったな・・・まそれは置いといて。お前は俺を神様だと認めるしかないぜ?」
「い・や!」
「えーと、ふ」
「ごめんなさい!!!!」
結局あたしは、その神様をつれて家に帰ったのだった。