表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
18/20

18.あとの祭り

 枯れた桜の前に残されたのは、仮装した三人と、刑事と罪人だった。


「石川、お前は俺と来てもらうからな?」


 公平の言葉に、石川は口をつぐんだ。


 そのやり取りを見ながら、貴仁は面白そうに口を開いた。


「そいつが作った呪符にお前の名前を見た時、マジ驚いたよ」


 その貴仁の言葉に、祐理が被せる。


「私は最初に会った時に気づいてたけどね」


 公平の動きが一瞬止まる。


「はい?」


 最初とは東京駅で会ったあの時だろうか。あのセーラー服の女子は、やはりそうだったのだと頷く。


「あの人、鵺を私と間違えて声かけたんだよ〜危なかったわぁ」


 公平はとっさに振り返る。


「その時から鵺とか、この流れわかっていたのか?」


 祐理は、まさか、という顔をした。


「いいえ、ただ、妖がいるなぁと思っただけ」


 公平は口ごもる。もしかしたら、鵺は自分を殺しに来ていたのかもしれなかった。危ないとは、そっちの意味だったとは。まぁ、本当のことを言われても、あの時の自分は信じられなかったが。


「中原一樹の父は、石川議員の政敵。後藤明の父は医師会の会長で、石川議員の政治献金の証人に立とうとしていた。つまり、君の父の邪魔になる人間の息子だった」


 これらは、調査部に依頼した調査結果だ。で、なんで自分が?と公平は思う。自分はとうに捜査から外され、左遷された男だ。


「正義感が強くて、引かない男だから。諦めずに狙ってくると思ってんでしょ?で、菅原公平をリストに加えた」


 公平の思いを察し、祐理が呟く。


「お前、妖怪を騙すなんて恐ろしい奴だな。おおよそ、鵺の力を得て、この国にひと泡吹かせようとしたのだろうけど」


 貴仁は呆れた顔で、石川を上から見下した。妖よりよっほど醜悪な男だ。鵺に絞め殺されれば良かったのに、と心の中で呟いた。


「何だよ!僕は何もしてない!証拠あるのかよ!裁判で認められる証拠が!呪いで裁判できるのかよ!それに、オヤジならお前らをどうとでもできるんだかな!」


 石川は嘲笑った。万が一、明るみになっても訴追されないように考えて動いてきた。抜かりはない。


 ビシッ!


 祐理は扇を石川に思い切り投げつけた。それは石川の顔面を直撃した。


「何もしてないだと!あんたがこの桜の木を利用しなければ、亡くならなかった人がいる。罪を犯さず、傷つかなかった人がいる!」


 祐理は身を乗り出す。


「証拠なんて、公平が必ず揃えるわ!あんたの親父だって、公平は諦めない!それに、私達だって、アンタ達を許さないんだから!!」


 貴仁とハクも冷ややかな視線を送りながら、大きく頷いた。公平は軽くため息をつと、静かに口を開く。


「石川、俺は事実と証拠を必ず揃えて、罪を償わせるからな?」


 その凛とした姿に、石川は畏れを抱いた。


「何なんだよ!お前ら!」


 焦った石川の言葉に、公平以外の3人は声を揃えて言った。


「協力者ですけど、なにか?」


 

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ