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自称旅商人は稼ぎたい  作者: 六番煎じ
1/1

はじまり

 旅商人に憧れた。きっかけはとても些細なことだった。


 ☆


 昔の僕は親に捨てられ王都の裏路地で死んだも同然のような生活を送っていた。


 他にも同じような境遇の子たちはいたけれど、僕より生き抜く感情が強い子たちは街で食料や衣服を、拾い集めたり、盗んで上手に生きていた。


 ある日、目が覚めたら周りが異様に慌ただしかった。後から聞いた話では国の政策で孤児刈りが行われてたらしい。


 僕たち孤児は悪いことしかしないので嫌われているのだ。


「おい!ミーが捕まった!!この場所もばれてる。逃げるぞ!」


「みんな!もうそこまで来てるよ!」


「寝てるやつはほっとけ!そいつらまで連れてたら、俺らまで捕まっちまう!」


 5、6人の子供たちが大声で叫び合いながら走って行った。


 僕は未だに状況が分かっていなかった。普段あんなに大声で話しているところは見たことがなかったし大人たちに見つからないように静かに行動していたことも知っている。


 それが今日は一転して脇目もふらず行動しているのだ。何かが起こっていることは一目瞭然だが、自分はどうすればいいのか。どう行動するべきかはさっぱり分からなかった。


 しばらくするとピカピカの鎧を身に纏った大人たちがやってきた。


「こっち来てくれ、布団とかが置かれてる。ここがさっきのガキどもの根倉だろう」


「ちっ、さっきのやつはもう逃げたか、次あったときは、はっ倒してやる」


「まだ何人かいるな。捕まえて連れていけ!」


 僕はボーッと大人たちが話しているところを見ていたが、一人の大人に右手首を掴まれ無造作に持ち上げられた。


「なんか屍みたいなガキもいますよ、隊長。こんなんじゃ研究材料にも奴隷にもならないんじゃないですかね?」


 一人の男が唯一帯剣している男に話しかけた。


「全部が全部さっきのみたいな生きのいいガキじゃねぇ。こんなやつでも使い道があるとかペール先生は言ってたからな。とりあえず残さず連れていけ。実験場に連れていくか奴隷にするかは後で決める」


「あーい、分かりましたよ隊長」


「こんな汚いの持ちたくないですよ」


 大人たちはぶつぶつ文句を言いながら僕を含め、逃げる意志のない子たちと孤児が生活に使っていた諸々の荷物を運び出していった。


 そうして僕は6年住んでいた裏路地から連れ出されたのだった。

社畜が自己満足のために書きました。

満足したら更新は終了します。

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