表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

ガールミーツリアルガール

 オヤシキにはブラックティーが必須であるらしい。それを誰が決めたかはもはや分かりようもない。この痕跡の山の中にだけ残された二足歩行の毛の少ない生き物の文明ではそれがごく一般的であるという推察を立てることができるというだけのことである。

「考古学は嫌いなんだけどなあ」わたしは仕事でこんなことをしている訳ではない。旧支配者の文明の中でも比較的古臭い文化について調べるなどという金持ちの道楽に付き合わされる哀れなナードになった覚えは毛頭ないのである。はやく母星のサーバーに戻りたい。それにしても、ここは何だろう。目の前にいる旧支配者(たしか生殖上の区分的には女とかいったか)はひたすらティーパーティーとやらの開催を迫ってくるし、話しかけてもなにも返してこない先ほどの女とやらよりは大きな体のもの

(こちらはたしか男)はひたすら大鍋をかき回している。いったいこれは何の痕跡なのだろうか。こんな気味の悪いいきものを見続けていると気が滅入る。こんなサーバー早く出てしまおう。はやく、はやく。そう願えば願うほど館の中の道は伸びていく。こんな時、TPO的な身体性を必要とするサーバーは嫌になる。

「この疲労ってやつも、すごくいやね」はやくこの恐ろしい世界から出たい。視覚も聴覚も触覚もなにもない、思念だけの飛び交う元の世界がいかに安心できるものであるかがわかった。いやというほど分かった。だから、おねがいだから

「ここから出して……」真ん中に突起のある大きな木の板にしがみついた。館の地下から沁みだしていた緑色の霧は、とても強い反応を嗅覚にもたらした。


「ここは……」まだ身体性が自分に存在することに落胆しながら辺りを見回す。大量の旧支配者たちがそこにはいた。異様な高さの建築物が不毛であろうとても固い大地からいくつも生えている。ふと、旧支配者のうちの一体と目が合った。思わず後ろにのけぞる。

「あれ、なんでこの個体ものけぞって……」好奇心からその旧支配者に向かって近づいていくと、見えない壁のようなものにぶつかった。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ