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第8話 模擬戦を終えて

前回のあらすじ

模擬戦はシンの勝利

 

 俺に向かって放たれた《雷槍》を避け、それを放った術者と距離を詰める。

 そしてソイツの肩をポンと叩く。


「シオン、アウト」

「あちゃー、ぼくもやられちゃいましたね。悔しいです」


 ソイツ―シオンはそう言うけど、言葉に反してその顔はのほほんとしていた。

 悔しさの欠片など、微塵も感じられなかった。


 この模擬戦で生き残っていた生徒はシオンが最後だったので、俺は退場していた生徒達を呼び寄せる。


「模擬戦は終了だ! お前ら、こっちに来い!」


 俺の言葉に従い、修練場の隅にいた生徒達が俺の方にやって来る。

 みんなが集まったのを確認した俺は、口を開く。


「さて、模擬戦は俺の勝利で終わったけど……これからの課題も見えてきたな。一ヶ月後までに間に合えばいいが……」

「一ヶ月後? ……って、まさか……」


 リースは、俺が何を考えているのか分かったらしい。

 俺はニヤリと口角を上げて、自らの考えを生徒達に告げる。


「そのまさかだ。一ヶ月にあるクラス対抗戦に、俺はこのクラスのみんなで優勝するつもりでいる」

「「「いやいやいやいや……」」」


 俺の宣言に、生徒達全員が首を横に振る。

 そして生徒達を代表して、リースが口を開く。


「そんなこと無理ですよ、先生。あたし達は落ちこぼれクラスであるF組なんですよ?」

「ああ、知ってる」

「なら……」

「だけどそれは入試の成績が、だろう? そんな評価、これから一ヶ月もあれば挽回出来る」


 俺はそう言うが、生徒達は皆どこか俺の言葉に怪訝そうな顔をしていた。

 だけど今言った言葉は、俺の嘘偽りのない予想……いや、ほぼ確定している事実だった。


 F組の生徒達はみんな、総合力では上位のクラスには敵わないかもしれない。

 だけど彼らは、ある一点に特化した才能を有していた。


 俺はこの模擬戦を通して、生徒一人一人の隠れた才能を見定めていた。


 生徒達は俺からしたら、ダイヤの原石そのものだった。

 その原石が磨かれることなく落ちこぼれクラスに埋もれているというのは、とてももったいない。


 だからその才能を伸ばせば、十分以上に上位クラスと渡り合える。


 未だに俺の言ったことが信じられないといった様子で、リースが尋ねてくる。


「先生、それ……本当ですか?」

「ああ、本当だ」

「あたし達みたいな落ちこぼれでも、上位クラスに勝つことが出来るんですか?」

「ああ、出来る」

「A組に勝つことも……」

「出来る」


 リースの質問に、俺は即答していく。

 するとリースだけでなく、他の生徒達の顔が徐々に明るくなる。


「さすがに絶対とまでは言い切れないが……今この状態よりも成長出来ることだけは約束しよう。勇者の名にかけて、な」


 俺は本心からそう言うと、俺の本気度が伝わったのか生徒達の目付きが変わる。


「だからこれから、俺がキミ達を鍛える。言っておくが、俺は厳しいぞ。覚悟はあるか?」

「「「はいっ!!」」」


 俺の言葉に、生徒達は力強く頷いた―――。






台詞は一言もありませんでしたけど、オリビアはちゃんといます。




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